研究開発税制の見直し
試験研究を行った場合の税額控除制度研究開発税制(研究開発税制)は、次の4つの税額控除制度によって構成されています。
(1)試験研究費の総額に係る税額控除(総額型)
(2)特別試験研究費に係る税額控除(オープンイノベーション型)
(3)中小企業技術基盤強化税制による税額控除(総額型との選択適用)
(4)試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度(増加型又は高水準型の選択適用)
研究開発税制について、次の見直しが行われました。所得税についても同様です。
- 総額型の見直し
試験研究費の総額に係る税額控除(総額型)について、企業の研究開発投資の一定割合を単純に減税する形となっている構造を見直し、
試験研究費の増減割合に応じた税額控除率とする制度に改組されました。
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現 行 |
改 正 後 |
税額控除率 |
8〜10% (中小法人12%) |
試験研究費の増減に応じ6%〜14% (中小法人12〜17%) |
控除限度額 |
法人税額の25%(一般試験研究費) |
法人税額の25%(一般試験研究費)
[・中小法人:10%上乗せ(増加割合5%超の場合)
・試験研究費が平均売上金額の10%超の場合:0〜10%上乗せ
(高水準型との選択 )] |
- 増加型の廃止
試験研究費の増加額に係る税額控除(増加型)又は平均売上金額の10%を超える試験研究費に
係る税額控除(高水準型)を選択適用できる制度について、増加型に係る税額控除が平成29年3月31日までの
間に開始する事業年度までで廃止(適用期間の終了)された上、高水準型の適用期限が2年延長されて
平成31年3月31日までの間に開始する事業年度までとされました。
- 試験研究費へのサービス開発の追加
IoT、ビッグデータ、人工知能等を活用した「第4次産業革命」による新たなビジネスの創出を後押しす
る観点から、研究開発税制の対象にビックデータ等を活用した「第4次産業革命型」のサービス開発が
新たに追加されました。
- オープンイノベーション型の運用改善
特別試験研究費に係る税額控除(オープンイノベーション型)の利用促進を図るため、特別試験研究費の対象
となる共同研究・委託研究等の対象費目の拡大や手続きの簡素化など、要件が緩和されました。
この改正は、平成29年4月1日以後に開始する事業年度に適用されます。
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所得拡大促進税制の見直し
雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度(所得拡大促進税制)について、次の見直しが行われました。
所得税についても同様です。
- 大企業の場合
中小企業者等以外の法人について、平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えることとの要件が、
平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額のその比較平均給与等支給額に対する割合が
2%以上であることとの要件に見直されました。
また控除税額は、雇用者給与等支給増加額の10%と雇用者給与等支給増加額のうち雇用者給与等支給額から
比較雇用者給与等支給額を控除した金額に達するまでの金額の2%との合計額(現行:雇用者給与等支給増加額の10%)
に拡充されました。
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現 行 |
改 正 後 |
要件 |
@給与等支給総額 :平成24年度から5%以上増加
A給与等支給総額 :前事業年度以上
B平均給与等支給額 :前事業年度を上回る |
@A変更なし
B平均給与等支給額 :前年度比2%以上増の要件に変更 |
税額控除 |
給与等支給総額の24年度からの増加額の10% |
前年度からの増加額について2%の税額控除を上乗せし合計12% |
- 中小企業の場合
中小企業者等について、平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額のその比較平均給与等
支給額に対する割合が2%以上である場合における控除税額を、雇用者給与等支給増加額の10%と雇用者給与等
支給増加額のうち雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額に達するまでの金額の12%
との合計額(現行:雇用者給与等支給増加額の10%)に拡充されました。
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現 行 |
改 正 後 |
要件 |
@給与等支給総額 :平成24年度から3%以上増加
A給与等支給総額 :前事業年度以上
B平均給与等支給額 :前事業年度を上回る |
@AB変更なし |
税額控除 |
給与等支給総額の24年度からの増加額の10% |
平均給与等支給額が前年度比2%以上増の場合は、給与等支給総額の前年度からの増加額について、
12%の税額控除を上乗せし合計22% |
この改正は、平成29年4月1日以後に開始する事業年度に適用されます。
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中小法人の法人税の軽減税率の延長
中小法人の年800万円以下の所得に係る法人税率を15%に軽減する措置が2年間(平成30年度末まで)延長されました。
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中小企業等の貸倒引当金の特例の延長
事業協同組合等が損金算入できる貸倒引当金の繰入限度額の割増率を10%に引き下げた(現行:12%)上で、
適用期限が2年間(平成30年度末まで)延長されました。
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中小企業経営強化税制の創設
中小企業投資促進税制の上乗せ措置(生産性向上設備等に係る即時償却又は税額控除)について、
中小企業経営強化税制として改組し、対象資産に器具備品及び建物附属設備を追加され拡充されます。
青色申告書を提出する中小企業者等で中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたものが、
平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に、生産等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、
建物附属設備及びソフトウエアで、特定経営力向上設備等に該当するもののうち、一定の規模以上の
ものの取得等をして、その特定経営力向上設備等を国内にあるその法人の指定事業の用に供した場合には、
その特定経営力向上設備等の普通償却限度額との合計でその取得価額までの特別償却とその取得価額の7%
(特定中小企業者等は10%)の税額控除との選択適用ができます。
ただし、税額控除における控除税額は当期の法人税額の20%を上限とし、控除限度超過額は1年間の繰越しができます。
中小企業等経営強化法の認定を受けた対象資産は、申請により固定資産税の軽減も受けられます。
<投資促進系の優遇税制>
- 生産性向上設備投資促進税制
平成29年3月31日までで廃止(適用期間の終了)
- 中小企業投資促進税制
対象資産から器具備品を除外した上で平成31年3月31日まで延長
- 中小企業商業・サービス業・農林水産業活性化税制
平成31年3月31日まで延長
- 中小企業経営強化税制の創設
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役員給与等の見直し
株価や中長期的な業績を反映した役員給与制度による経営者へのインセンティブ付与のための環
境整備として、役員給与の損金算入対象が拡大(株価連動給与等)されました。
一部を除き、平成29年4月1日以後に支給等に係る決議をする給与について適用されます。
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組織再編税制の見直し
企業の機動的な事業再編を可能とするための環境整備として、上場企業内の事業部門の分社化
(スピンオフ)の際の譲渡損益の課税を繰り延べる等、組織再編税制が整備されます。
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法人税の申告期限の見直し
企業と投資家の対話の充実を図るための株主総会の開催日の柔軟な設定のための環境整備として、
法人税の申告期限を事業年度終了から最大6ヶ月後(改正前は最大3ヶ月後)まで延長可能されました。
平成29年4月1日より申請できます。
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中小企業向け政策税制の適用対象の厳格化
法人税関係の中小企業向けの各租税特別措置について、平均所得金額(前3事業年度の所得金額の平均)が
年15億円を超える事業年度の適用を停止する措置が講じられました。
なお、この適用要件の見直しは、租税特別措置法における中小企業向け特例措置のみを対象とし
ています。法人税法に規定される欠損金の繰越控除や地方税法本則に規定される外形標準課税
等の適用については従前通りです。
この改正は、平成31年4月1日以後に開始する事業年度に適用されます。
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配偶者控除の見直し
控除対象配偶者又は老人控除対象配偶者を有する居住者について適用する配偶者控除の額が次のとおりとされました。
なお、合計所得金額が1,000万円を超える居住者については、配偶者控除の適用はできないこととされました。
居住者の合計所得金額 |
控 除 対 象 配 偶 者 控 除 額 |
老人控除対象配偶者 控 除 額 |
900万円以下 |
38万円(33万円) |
48万円(38万円) |
900万円超950万円以下 |
26万円(22万円) |
32万円(26万円) |
950万円超1,000万円以下 |
13万円(11万円) |
16万円(13万円) |
※( )は個人住民税の控除額
この改正は、平成30年分以後の所得税及び平成31年度分以後の個人住民税について適用されます。
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配偶者特別控除の見直し
配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額を38万円超123万円以下(現行:38万円超76万円未満)とし、
その控除額が次のとおりとされました。
なお、現行同様に合計所得金額が1,000万円を超える居住者については、配偶者特別控除の適用はできません。
居住者の合計所得金額 |
控 除 額 |
900万円以下 |
3万円〜38万円(3万円〜33万円) |
900万円超950万円以下 |
2万円〜26万円(2万円〜22万円) |
950万円超1,000万円以下 |
1万円〜13万円(1万円〜11万円) |
※( )は個人住民税の控除額
この改正は、平成30年分以後の所得税及び平成31年度分以後の個人住民税について適用されます。
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積立NISAの創設
家計の安定的な資産形成を支援する観点から、少額からの積立・分散投資を促進するため、非課税累積投資契約に
係る非課税措置(積立NISA)が新たに創設され、平成30年1月1日から導入されます。
現行NISAと同様、口座内で生じた配当及び譲渡益について非課税とされます。
- 年間の投資上限額:年40万円(現行NISA 年120万円)
- 非課税期間:20年間(現行NISA 5年間)
- 投資対象商品:長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託
- 投資方法:契約に基づく定期かつ継続的な方法による買付け
- 現行NISAとの関係:現行NISAと選択して適用可能
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