経営承継相続人が、非上場会社を経営していた被相続人から相続等によりその会社の
株式等を取得し、その会社を経営していく場合には、その経営承継相続人が納付すべき
相続税額のうち、相続等により取得した議決権株式等(相続開始前から既に保有していた
議決権株式等を含めて、その会社の発行済議決権株式等の総数等の3分の2に達するまでの
部分に限ります。)に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予することとされました。
<経営承継相続人>
「経営承継相続人」とは、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」の
規定に基づき経済産業大臣の認定を受ける一定の非上場会社(「認定中小企業者」と
いいます。)の代表者であった者の後継者をいいます。
経営承継相続人は、経済産業大臣の認定の有効期間(5年間)内は毎年、その後は3年毎に
継続届出書を税務署長に提出しなければなりません。
<猶予税額の計算>
- 相続税の納税猶予の適用がないものとして、通常の相続税額の計算を行い、
経営承継相続人の相続税額を算出します。
- 経営承継相続人以外の相続人の取得財産は不変としたうえで、経営承継相続人が、
特例適用株式等(100%)のみを相続するものとして計算した場合の経営承継相続人の
相続税額と、特例適用株式等(20%)のみを相続するものとして計算した場合の経営
承継相続人の相続税額の差額が、経営承継相続人の猶予税額とされます。
- 1により算出した経営承継相続人の相続税額から2の猶予税額を控除した額が
経営承継相続人の納付税額となります。
<適用期日>
- 非上場株式等に係る相続税の納税猶予制度は、中小企業における経営の承継の
円滑化に関する法律の施行日(平成20年10月1日)以後の相続等について適用を可能と
する措置が講じられました。
- 平成20年10月1日から平成21年3月31日までの間に開始した相続に係る被相続人の
遺産に非上場会社の株式等が含まれており、かつ、当該被相続人が当該非上場会社の
代表者であった場合には、当該被相続人に係る相続税の申告書の提出期限が平成22年2月1日
まで延長されます。