平成15年度税制に関する改正点 
 

M E N U

  • 研究開発減税の創設・拡充(法人税)
  • 設備投資減税の創設(法人税)
  • 中小企業税制の創設・拡充(法人税・所得税)
  • 外形標準課税の導入(法人事業税)
  • 配偶者特別控除の縮小(所得税・個人住民税)
  • 金融・証券税制の軽減・簡素化(所得税・個人住民税)
  • 相続時精算課税制度の創設(相続税・贈与税)
  • 住宅取得資金に係る相続時精算課税制度の特例の創設(相続税・贈与税)
  • 税率構造の改正(相続税・贈与税)
  • 最終更新日:2003.5.4

    T O P平成15年度税制改正点平成15年分確定申告のあらまし平成15年度消費税改正点

    研究開発減税の創設・拡充(法人税)


    1. 試験研究費の総額に係る特別税額控除制度の創設

      試験研究費の総額の一定割合を税額控除する制度が、現行制度の増加試験研究費の税額控除制度(当期の法人税額の12%相当額を限度として、いわゆる試験研究費の増加額の15%相当額の税額控除を認める制度)との選択制で創設されました。

      税額控除率は、当期の法人税額の20%相当額を限度として、試験研究費割合(試験研究費の総額の当期を含む4年間の平均売上金額に対する割合)に応じて8%〜10%(当初3年間は2%上乗せして10%〜12%)となります。

      • 試験研究費割合が10%以上
         ・・10%(当初3年間は12%)

      • 試験研究費割合が10%未満
         ・・8%(当初3年間は10%)+試験研究費割合×0.2

    2. 産学官連携の共同研究・委託研究に関する特別税額控除制度の創設

      産学官連携の共同研究・委託研究について、当期の法人税額の20%相当額を限度として、試験研究費の額の12%(当初3年間は3%上乗せして15%)の税額控除率が適用されます。

    3. 中小企業に対する特別税額控除制度の特例の拡充

      資本金1億円以下の中小法人に対し、当期の法人税額の20%相当額を限度として、試験研究費の総額の12%(当初3年間は3%上乗せして15%)の税額控除率が適用されます。

    これらの改正は、平成15年1月1日以後に開始する事業年度で、かつ、平成15年4月1日以後に終了する事業年度について適用されます。


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    設備投資減税の創設(法人税)


    1. IT投資促進減税の創設

      一定のIT関連設備等の取得等をした場合に、取得価額の50%の特別償却または10%の税額控除を選択できる制度が創設されました。
      また、資本金3億円以下の法人に限って、一定のリース資産については、リース費用総額の60%について、10%の税額控除率が適用されます。
      税額控除は当期の法人税額の20%相当額を限度として、控除限度超過額は1年間の繰越が認められます。

      • IT投資促進減税の適用対象となるIT関連設備等とは、所定の期間内に取得等をした設備の取得価額の合計額が600万円以上(資本金3億円以下の法人については140万円以上)のもの(該当設備は電子計算機・デジタル複写機・ファクシミリ・ICカード利用設備・デジタル放送受信設備・インターネット電話設備・ルータースイッチ・デジタル回線設備装置の8種類)または取得価額の合計額が600万円以上(資本金3億円以下の法人については70万円以上)のソフトウェアが該当します。

      • リース税額控除の適用対象となるリース資産には、上記設備のリース費用総額の合計額が200万円以上のものまたはリース費用総額の合計額が100万円以上のソフトウェアで各々リース契約期間4年以上かつリース資産の耐用年数を超えない等の要件を満たすものが該当します。

    2. 開発研究用設備の特別償却制度の創設

      一定の開発研究用設備の取得をした場合に、取得価額の50%を特別償却できる制度が創設されました。

      • 特別償却制度の適用対象となる開発研究用設備とは、開発研究に専用される機械装置及び器具備品のうち減価償却資産の耐用年数省令別表八の機械装置及び器具備品に該当するもので、その取得価額が280万円以上のものが該当します。

    これらの改正は、平成15年1月1日から平成18年3月31日までの間に取得等をして事業等の用に供した場合について適用されます。


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    中小企業税制の創設・拡充(法人税・所得税)


    1. 同族会社の留保金課税

      自己資本比率(自己資本に同族関係者からの借入金を含める)が50%以下の中小法人については、留保金課税が停止され、かつ、現行の税額の5%軽減措置は廃止されます。

      同族会社の判定については、同族会社となる持分割合の基準が従来の50%以上から50%超に改められます。

      この改正は、平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間に開始する事業年度について適用されます。

    2. 交際費等の損金不算入制度の緩和

      400万円までの定額控除が認められる対象法人の範囲が資本金1億円以下(改正前資本金5,000万円以下)の中小法人に拡大されました。
      また、定額控除額400万円までの金額の損金不算入割合が10%(改正前20%)に引下げられました。

      この改正は、平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間に開始する事業年度に支出した交際費等について適用されます。

    3. 少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例制度

      中小企業者等について、30万円未満の少額減価償却資産を取得した場合、取得した事業年度又は年分に全額損金算入等(即時償却)する特例制度が創設されました。

      ここでいう中小企業者とは、資本若しくは出資の金額が1億円以下の法人(その発行済株式の総数又は出資金額の2分の1以上を同一の大規模法人に所有されている法人及びその発行済株式の総数又は出資金額の3分の2以上を大規模法人に所有されている法人を除きます)又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人をいいます。

      この改正は、平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間に取得をして事業の用に供した場合について適用されます。

    4. エンジェル税制の緩和

      特定中小会社(ベンチャー企業)の発行する株式に係る課税の特例が創設され、一定の要件の下で、その特定株式の取得に要した費用(投資額)を、当該株式に係る譲渡所得の金額を限度として、その取得をした年分の株式等に係る譲渡所得の金額から控除することが認められます。
      その場合、特定株式の取得価額は、その取得に要した費用の金額から当該控除した金額を差し引いた金額となります。

      また、次の適用要件が緩和されます。

      • 特定中小会社に係る外部資本要件の緩和
        特定中小会社の要件としての外部からの投資受入時点における同族株主の発行済株式総数に対する株式保有割合が、6分の1以上(改正前3分の1以上)に引き下げられます。

      • 譲渡所得等の課税の特例の要件の緩和
        特定株式を上場日以降に譲渡した場合の譲渡益を2分の1とする課税の特例の要件たる譲渡期間が、上場等の日以後3年以内(改正前1年以内)に緩和されます。

    この改正は、平成15年4月1日から適用されます。


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    外形標準課税の導入(法人事業税)


    資本金1億円超の法人を対象として外形標準の割合を4分の1とする外形標準課税制度が創設され、平成16年度から法人事業税に導入されます。

    1. 対象法人

      対象法人は、資本の金額又は出資金額が1億円を超える法人(現行の所得課税法人に限るものとし、公益法人等、特別法人、人格のない社団等及び投資法人等を除く)です。

    2. 課税標準及び算定方法

      対象法人に対し、所得割、付加価値割及び資本割の合算額によって法人事業税が課されます。

      • 所得割
        各事業年度の所得及び清算所得の算定方法は現行通りです。

      • 付加価値割
        各事業年度の付加価値額は、各事業年度の収益配分額(報酬給与額、純支払利子及び純支払賃借料の合計額)と各事業年度の単年度損益を合算により算定されます。

      • 資本割
        各事業年度の資本等の金額は、原則として各事業年度終了の日における資本等の金額(資本金と資本積立金額の合計額)が用いられます。

        (注)資本等の金額が1,000億円を超える法人並びに持株会社(保有する子会社株式の帳簿価額が総資産額の50%を超える法人)に係る特例措置があります。

    3. 標準税率

      所得割に係る税率は、現行の4分の3に軽減されます。
      都道府県が標準税率を超えた税率で法人事業税を課する場合における制限税率は、標準税率の1.2倍(現行1.1倍)となります。

    所 得 割
    ( )内は現行
    付加価値割 資本割
    標準税率 所得のうち年800万円超の金額 7.2%
    (9.6)
    0.48% 0.2%
    所得のうち年400万円超800万円以下の金額 5.5%
    (7.3)
    所得のうち年400万円以下の金額 3.8%
    (5.0)

    外形標準課税は、平成16年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

    電気供給業・ガス供給業・生命保険業・損害保険業の4業種については、現行において収入金額による外形標準課税が行なわれているため、付加価値及び資本等の金額に基づく外形標準課税の導入は将来の課題とされています。


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    配偶者特別控除の縮小(所得税・個人住民税)


    配偶者特別控除のうち控除対象配偶者について配偶者控除に上乗せして適用される部分が廃止されました。
    なお、控除対象配偶者以外の配偶者については、現行通りの配偶者特別控除が適用されます。

    この改正は、平成16年分以後の所得税及び平成17年度分以後の個人住民税について適用されます。


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    金融・証券税制の軽減・簡素化(所得税・個人住民税)


    上場株式等の配当、公募株式投資信託の収益分配金、上場株式等の譲渡益について、一律20%(所得税15%、個人住民税5%)の源泉徴収のみで納税が完了する仕組み(申告不要制度)が導入されました。
    上記については、今後5年間は10%(所得税7%、個人住民税3%)の優遇税率が適用されます。

    1. 配当課税

      この改正は、平成15年4月1日以後に支払いを受ける上場株式等の配当から適用されます。(優遇税率の適用は平成15年4月1日から平成20年3月31日まで)
      なお、確定申告によって配当控除を適用する総合課税を選択することはできます。

      (注)株式等に係る配当所得の35%源泉分離選択課税の特例は、平成15年3月31日をもって廃止されました。
      上場株式等の配当所得に係る申告不要の特例の適用上限額については平成15年4月1日以後支払いを受ける配当等について撤廃されました。

    2. 公募株式投資信託課税

      この改正は、平成16年1月1日以後に支払いを受ける公募株式投資信託の収益分配金から適用されます。(優遇税率の適用は平成16年1月1日から平成20年3月31日まで)
      また、平成16年1月1日から公募株式投資信託の償還(解約)損と株式等譲渡益の通算が可能となりました。

    3. 株式譲渡益課税

      この改正は、平成15年1月1日以後の上場株式等の譲渡所得等に対する所得税から適用されます。(優遇税率の適用は平成15年1月1日から平成19年12月31日まで)

      (注)長期所有上場株式等に係る譲渡所得等に対する暫定税率の特例及び長期所有上場等に係る100万円特別控除の特例は廃止されました。


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    相続時精算課税制度の創設(相続税・贈与税)


    親から子への贈与について、贈与時に軽減された贈与税を納付し、相続時に相続税で精算する制度が、従来の贈与税の課税制度(暦年課税)との選択制で創設され、相続税と贈与税の一体化措置が導入されました。

    1. 相続時精算課税制度の概要
      一定の要件を満たす生前贈与の受贈者は、選択により、贈与時に贈与税を支払い、その後の相続時にその贈与財産と相続財産とを合計した価額を基に計算した相続税額から、既に支払った贈与税を控除する。

    2. 適用対象者
      • 贈与者:65歳以上の親
      • 受贈者:20歳以上の子である推定相続人(代襲相続人を含む)

    3. 適用手続
      • 本制度の選択を行なう受贈者は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに所定の届出を贈与税の申告書に添付して提出(選択の届出は撤回不可)
      • この選択は、受贈者である兄弟姉妹が別々に、贈与者である父、母ごとに選択可能

    4. 贈与時の特別控除
      • 特別控除は、累積で2,500万円を限度として複数年にわたって使用可能
      • それを超えた部分は、一律20%で課税

    5. 相続時の税額計算等
      • 相続時には、贈与額と相続額の合計から計算された相続税から、既に納めている贈与税を控除
      • 相続税から控除しきれない贈与税は還付
      • 相続額に合算する贈与額は、贈与時の時価
    この改正は、平成15年1月1日以後の相続または贈与について適用されます。


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    住宅取得資金に係る相続時精算課税制度の特例の創設(相続税・贈与税)


    住宅の取得または増改築に充てる資金を贈与により取得した場合には、相続時精算課税制度について、次の特例を適用することができます。

    1. 相続時精算課税制度について、住宅取得資金を贈与する場合は、特別控除が1,000万円上乗せされ、3,500万円まで拡大されます。

    2. 相続時精算課税制度の贈与者の年齢要件(65歳以上の親)の制限はなく、65歳未満の親からの贈与であっても相続時精算課税制度を選択できます。
    この特例は、平成15年1月1日から平成17年12月31日までの間に贈与により取得する住宅取得資金等について適用されます。

    なお、従来の住宅資金の贈与の特例(5分5乗)は、平成17年12月31日までの間、経過措置として存続します。
    (注)この経過措置の適用を受けた場合には、その適用年分以後5年間は、相続時精算課税制度を選択できません。


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    税率構造の改正(相続税・贈与税)


    1. 相続税の税率構造の改正

    相続税の最高税率が50%(改正前:70%)に引き下げられ、税率の刻み数が6段階(改正前:9段階)に簡素化されました。
    また、相続税額の2割加算制度について、養子となった孫(孫養子)が追加されました。

    <改正前>
    各法定相続人
    の取得金額
    税率 控除額
    800万円以下 10% 0円
    1,600万円以下 15% 40万円
    3,000万円以下 20% 120万円
    5,000万円以下 25% 270万円
    1億円以下 30% 520万円
    2億円以下 40% 1,520万円
    4億円以下 50% 3,520万円
    20億円以下 60% 7,520万円
    20億円超 70% 27,520万円
    <改正後>
    各法定相続人
    の取得金額
    税率 控除額
    1,000万円以下 10% 0円
    3,000万円以下 15% 50万円
    5,000万円以下 20% 200万円
    1億円以下 30% 700万円
    3億円以下 40% 1,700万円
    3億円超 50% 4,700万円

    この改正は、平成15年1月1日以後の相続から適用されます。

    2. 贈与税の税率構造の改正

    相続時精算課税制度の対象とならない贈与財産に係る贈与税(暦年課税)についても、贈与税の最高税率が50%(改正前:70%)に引き下げられ、税率の刻み数が6段階(改正前:13段階)に簡素化されました。

    <改正前>
    取得金額 税率 控除額
    150万円以下 10% 0円
    200万円以下 15% 7.5万円
    250万円以下 20% 17.5万円
    350万円以下 25% 30万円
    450万円以下 30% 47.5万円
    600万円以下 35% 70万円
    800万円以下 40% 100万円
    1,000万円以下 45% 140万円
    1,500万円以下 50% 190万円
    2,500万円以下 55% 265万円
    4,000万円以下 60% 390万円
    1億円以下 65% 590万円
    1億円超 70% 1,090万円
    <改正後>
    取得金額 税率 控除額
    200万円以下 10% 0円
    300万円以下 15% 10万円
    400万円以下 20% 25万円
    600万円以下 30% 65万円
    1,000万円以下 40% 125万円
    1,000万円超 50% 225万円

    この改正は、平成15年1月1日以後の贈与から適用されます。

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