オープンイノベーション促進税制の創設
企業の事業革新につながるオープンイノベーションを促進するため、事業会社が、令和2年4月1日から令和4年3月31日までの間に、
一定の要件(設立10年未満・非上場企業等)を満たすベンチャー企業の株式を出資の払込みにより取得した場合、その株式の
取得価額の25%以下の金額を特別勘定として経理したときは当該金額の損金算入が認められる措置が創設されました。
払込金額要件:1億円以上(中小企業者は1000万円以上、外国法人への払込みは5億円以上、払込み上限あり)
上記の適用を受けた事業会社が、当該株式を譲渡した場合や配当の支払いを受けた場合等には、
特別勘定のうち対応する部分を取り崩し、益金に算入しなければなりません。
ただし、特定期間(5年間)保有した株式については、この限りではありません。
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租税特別措置の適用要件の見直し
現行制度では、次の要件のいずれにも該当しない大企業については、研究開発税制その他一定の税額控除
(特定税額控除)の規定を適用しないこととされています。(適用期限:令和3年3月31日までの間に開始する事業年度)
- 継続雇用者給与等支給額が前事業年度の継続雇用者給与等支給額を超えること
- 国内設備投資額が当期の減価償却費の1割の金額を超えること
但し、所得金額が前事業年度の所得金額以下の場合には対象外
※特定税額控除:特定の地域、業種、中小企業を対象とする措置等を除く、生産性の向上に関連する
租税特別措置(研究開発税制、地域未来投資促進税制、情報連携投資の促進に係る税制)の税額控除
次の見直しが行われました。
- 上記2の要件について、「国内設備投資額が当期の減価償却費の3割の金額を超えること」とする。
- 不適用措置の対象に、5G導入促進税制(新設)の税額控除を加える。
※改正後の特定税額控除:研究開発税制、地域未来投資促進税制、5G導入促進税制
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賃上げ・投資促進税制の見直し
「賃上げ・投資促進税制」(大企業向け)の適用要件に含まれている設備投資要件について、
「国内設備投資額が当期償却費総額の95%(改正前:90%)以上であること」に要件が改正されました。
(適用期限:令和3年3月31日までの間に開始する事業年度)
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5G導入促進税制の創設
安全性・信頼性が確保された5G設備の導入を促す観点から、特定高度情報通信技術活用システムの開
発供給及び導入の促進に関する法律の規定に基づく、認定導入計画に従って導入される一定の5G設備に
係る投資について、30%の特別償却と15%の税額控除(法人税額の20%を上限)との選択適用ができる
措置が創設されました。
この改正は、法律施行の日から令和4年3月31日までに取得して事業の用に供した場合について適用されます。
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連結納税制度のグループ通算制度への移行
連結納税制度(企業グループ内の個々の法人の損益を通算するなど、グループ全体を一つの納税主体と捉えて課税する制度)
の適用実態やグループ経営の実態を踏まえ、企業の事務負担の軽減等の観点から、損益通算の基本的な枠組みを維持しつつ、
企業グループ内の各法人を納税単位として、各法人が個別に法人税額の計算及び申告を行い、
その中で損益通算等の調整を行うグループ通算制度へ移行されます。
- 個別申告方式
企業グループ全体を一つの納税単位とし、一体として計算した法人税額等を親法人が申告する現行制度に代えて、
各法人が個別に法人税額等の計算及び申告を行います。
- 損益通算
欠損法人の欠損金額を所得法人の所得金額と損益通算します。
- 税額調整等
研究開発税制及び外国税額控除については、企業経営の実態を踏まえ、現行制度と同様、グループ全体で税額控除額を計算します。
- 組織再編税制との整合性
開始・加入時の時価評価課税・欠損金の持込み等について組織再編税制と整合性が取れた制度とし、
通算グループの開始・加入時の時価評価課税や繰越欠損金切り捨ての対象が縮小されます。
- 親法人の適用開始前の欠損金の取扱い
親法人も子法人と同様、グループ通算制度の適用開始前の繰越欠損金を自己の所得の範囲内でのみ控除します。
- 中小法人判定の適正化
通算グループ内に大法人がある場合には中小法人特例を適用しません。
- 地方税
現行の基本的な枠組みを維持しつつ、国税の見直しに併せて、所要の措置を講じます。
この改正は、令和4年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
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交際費等の損金不算入制度の適用期限の延長・見直し
交際費等の損金不算入制度の適用期限が、令和4年3月31日まで2年延長されました。
接待飲食費にかかる損金算入の特例(法人が支出した交際費等のうち飲食のための支出(1人当たり5,000円超分)
の50%を損金算入可能とする特例)について、その対象法人からその資本金の額等が100億円を超える法人が除外されました。
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少額減価償却資産の損金算入の特例の延長・見直し(法人税・所得税)
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、その適用期限が令和4年3月31日まで
2年延長されました。
中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合、合計300万円までを限度に、
即時償却(全額損金算入)することが可能となる措置について、対象法人から連結法人及び従業員数500人超
(現行1,000人超)の法人が除外されされました。
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地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の見直し
地方創生の更なる充実・強化に向け、志のある企業の地方への寄附を促すことにより、
地方への資金の流れを飛躍的に高める観点から、企業版ふるさと納税について、
手続の抜本的な簡素化・迅速化が図られるほか、税額控除割合が6割(改正前:3割)に引き上げられます。
この税額控除割合の引き上げにより、寄附による法人関係税(法人住民税、法人事業税、法人税)の
軽減効果は、損金算入による軽減効果(約3割)と税額控除割合(約6割)を合わせて、
寄附額の最大約9割(改正前:約6割)になります。
この改正は、令和2年4月1日から令和7年3月31日までに支出される寄附金について適用されます。
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未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し
全てのひとり親家庭に対して公平な税制を実現する観点から、「婚姻歴の有無による不公平」と「男性のひとり親と
女性のひとり親の間の不公平」を同時に解消するため、以下の改正が行われました。
- 婚姻歴の有無や性別にかかわらず、生計を一にする子(総所得金額等が48万円以下)を有する単身者について、
同一の「ひとり親控除」(控除額35万円)を適用する。
- 上記以外の寡婦については、引き続き控除額27万円を適用することとし、子以外の扶養親族を持つ寡婦についても
所得制限500万円以下を設定する。
※ 所得500万円以下の子以外の扶養親族を持つ死別・離別の女性、扶養親族がいない死別女性については現状のままとなる。
※ ひとり親控除、寡婦控除のいずれについても、住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載がある者は対象外とする。
この改正は、令和2年分以後の所得税について適用されます。
個人住民税(ひとり親控除:30万円、寡婦控除:26万円)については令和3年度分以後について適用されます。
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NISA制度の見直し・延長
経済成長に必要な成長資金の供給を促すとともに、人生100年時代にふさわしい家計の安定的な資産形成を支援していく観点から、
NISA(少額投資非課税)制度について、少額からの積立・分散投資をさらに促進する方向で制度の見直しが行われ、口座開設可能期間が延長されました。
- つみたてNISA(20年間)を5年延長(令和5年開始⇒令和24年終了まで)する。
- 一般NISAについては、令和6年以後は、原則として一階で積立投資(20万円、5年間)を行っている場合には、
二階で別枠の非課税投資(102万円、5年間)を可能とする二階建ての制度に見直した上で5年延長する。
- ジュニアNISAについては、利用実績が乏しいことから延長せずに、現行法の規定どおり令和5年末で終了する。
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企業年金・個人年金制度等の見直しに伴う税制上の所要の措置
人生100年時代を迎える中で、高齢期の長期化、就労の拡大・多様化等を踏まえて、私的年金について以下の改正が予定されています。
これに伴い、現行の税制上の措置が引き続き適用されます。
- 確定拠出年金(DC)の企業型や個人型(iDeCo)等の加入可能年齢の引上げ等
企業型DCは現在65歳未満の者(厚生年金の加入者)が加入可能だが、これを70歳未満の者まで引上げる。
iDeCoについては、現在60歳未満の者(国民年金の加入者)まで加入可能だが、これを65歳未満の者まで引上げる。
私的年金を受け取る年齢についても、DCは現状70歳までに受け取ることになっているものを、70歳を超えても受取可能とする。
確定給付型(DB)は60歳から65歳の間で企業が受給年齢を設定しているが、これを70歳まで拡大する。
- 中小企業向けに設立手続きを簡素化した「簡易型DC」や、企業年金の実施が困難な中小企業がiDeCoに加入する
従業員の掛金に追加で事業主掛金を拠出できる「中小事業主掛金納付制度(iDeCoプラス)」について、
制度の対象範囲を現行の100人以下から300人以下に拡大する。
- 企業型DC加入者がiDeCoに加入できるのは、現行労使合意に基づく規約の定めがある企業に限られているが、
これを改め、従業員本人が希望すれば、iDeCoに加入できるように改善を図る。
- 企業年金・個人年金制度間の資産の持ち運び(ポータビリティ)はこれまで順次可能としてきたが、
DB終了時にiDeCoへの持ち運びが認められていないなど改善の余地があることから、ポータビリティの改善を図る。
- その他、iDeCoの加入申し込みや変更手続きをオンラインで可能にするなど、DC・DBにおける各種手続きの改善を図る。
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エンジェル税制の見直し
エンジェル税制(ベンチャー企業への投資を促進するために一定のベンチャー企業へ投資を行った個人投資家に対して税制上の優遇措置を行う制度)
の要件等が緩和されました。
- 都道府県に代わってエンジェル税制対象企業の証明を行える者に、認定クラウドファンディング業者(少額電子募集取扱業者)を追加する。
- 投資額を総所得金額から控除する優遇措置の対象に、設立後3年以上5年未満で一定の試験研究を行っているベンチャー企業を追加する。
この改正は、令和2年4月1日以後の払込みにより取得する株式について適用されます。
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低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除の創設
低未利用地土地等の譲渡(親族間譲渡は除く。)をした場合、低未利用土地等のの譲渡益から100万円を控除できる制度が創設されました。
[主な要件]
- 譲渡価額がその上にある建物等を含めて500万円以下の譲渡であること
- 所有期間が5年を超えること
- その低未利用地が都市計画区域内に所在すること
- 低未利用地であったこと及び譲渡後の土地の利用について市区町村の長が確認した書類が確定申告書に添付されていること
※低未利用土地等:居住の用、事業の用その他の用途に供されておらず、又はその利用の程度が周辺の地域における同ーの用途若しくは
これに類する用途に供されている土地の利用の程度に比し著しく劣っていると認められる土地等
この改正は、個人が、土地基本法等の一部を改正する法律の施行の日又は令和2年7月1日のいずれか遅い日から令和4年12月31日までの間に譲渡を行った場合に適用されます。
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国立大学法人等に対する個人寄附の促進
国立大学法人等への個人寄附について、その寄附収入がイノベーティブな研究に挑戦する若手研究者への研究費助成事業等に充てられる場合
(従来は修学支援事業に充てられる場合のみ)には、所得控除に加え、税額控除を選択できることとされました。
この改正は、令和2年分以後の所得税について適用されます。
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国外居住親族に係る扶養控除の見直し
所得要件(48万円未満)が国内源泉所得のみで判定されるために、国外で一定以上の所得を稼得している国外居住親族でも
扶養控除の対象にされているとの指摘を踏まえ、留学生や障害者、送金関係書類において38万円以上の送金等が確認できる者を除く
30歳以上70歳未満の成人について、扶養控除の対象にしないこととされました。
この改正は、令和5年分以後の所得税について適用されます。
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法人に係る消費税の申告期限を延長する特例の創設
企業の事務負担の軽減や平準化を図る観点から、法人税の申告期限の延長の特例の適用を受ける法人について、
消費税の申告期限を1月延長する特例が創設されました。
この改正は、令和3年3月31日以後終了する事業年度末の属する課税期間から適用されます。
延長された期閻の消費税の納付については、利子税を併せて納付します。
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居住用賃貸建物の取得に係る消費税の仕入税額控除制度の適正化
住宅の貸付けのための建物(居住用賃貸建物)の取得に係る仕入税額については、
住宅家賃(非課税売上)に対応するものとして、本来仕入税額控除の対象となるべきものではありませんが、
作為的な金の売買を継続して行う等の手法により、仕入税額控除を行う事例があるため、
仕入税額控除制度の適正化を図る観点から、令和2年10月1日以後に行う居住用賃貸建物の仕入れについては、
仕入税額控除制度の適用を認めないこととされました。
※令和2年3月末までの契約に基づき取得した居住用賃貸建物については、一定の経過措置を設ける。
※仕入税額控除制度の適用が認められないこととされた居住用賃貸建物について、3年以内に住宅の貸付け以外の貸付けの用に供した場合
又は譲渡した場合には、一定の計算を行った上、仕入控除税額に加算して調整する。
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たばこ税の見直し
重量に応じて課税されている軽量な葉巻たばこ(1本当たり1グラム未満)について、紙巻たばこと同等の税負担となるよう、
本数課税へ見直されました。
激変緩和を図る観点から、たばこ税率の引上げスケジュールにあわせて、一定の経過措置を講じ
最低税率を段階的(令和2年10月・令和3年10月)に引き上げられます。
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欠損金の繰戻しによる還付の特例(法人税)
中小企業(資本金1億円以下の法人)にのみ認められている青色欠損金の繰戻し還付について、いわゆる中堅企業(資本金1億円超10億円以下の法人)も適用できることとされました。
ただし、大規模法人(資本金10億円超の法人)の100%子会社及び100%グループ内の複数の大規模法人に発行済株式の全部を保有されている法人等を除きます。
この改正は、令和2年2月1日から令和4年1月31日までの間に終了する事業年度に生じた欠損金に適用されます。
この場合の令和2年7月1日前に確定申告書を提出した法人の還付請求書の提出期限は、令和2年7月31日となります。
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テレワーク等のための中小企業の設備投資税制(法人税・所得税)
中小企業者等が、令和3年3月31日までの期間内に、テレワーク等のためのデジタル化設備の取得等をした場合には、
中小企業経営強化税制の適用(即時償却又は7%(資本金3,000万円以下の法人は10%)の税額控除)を受けることができることとされました。
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中止等されたイベントに係る入場料等の払戻請求権を放棄した者への寄附金控除の適用(所得税)
政府の自粛要請を踏まえて文化芸術・スポーツイベントを中止等した結果、主催者に大きな損失が生じている状況を踏まえ、
文化芸術・スポーツに係る一定のイベントの入場料等について、観客等が払戻請求権を放棄した場合には、当該放棄した金額について、
寄附金控除(所得控除又は税額控除)の対象とされました。
※不特定かつ多数の者を対象とするイベントであって、令和2年2月1日から令和3年1月31日までに日本国内で開催する予定だったものであり、
かつ、現に中止等されたものを対象とする。
※本特例を用いた寄附金控除の対象金額は20万円を上限とする。その他の要件等については、現行の寄附金控除と同様とする。
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住宅ローン控除の適用要件の弾力化(所得税)
- 需要変動平準化のための住宅ローン控除の特例の適用について
新型コロナウイルス感染症の影響による住宅建設の遅延等への対応として、住宅ローンを借りて新築した住宅、
取得した建売住宅又は中古住宅、増改築等を行った住宅に令和2年12月末までに入居できなかった場合でも、
次の要件を満たす場合には、控除期間が13年に延長された住宅ローン控除を適用できることとされました。
@ 新型コロナウイルス感染症の影響によって新築住宅、建売住宅、中古住宅又は増改築等を行った住宅への入居が遅れたこと
A 一定の期日までに、新築、建売住宅・中古住宅の取得、増改築等に係る契約を行っていること
※一定の期日
新築の場合・・令和2年9月末まで
建売住宅・中古住宅の取得、増改築等の場合・・令和2年11月末まで
B 令和3年12月末までの間にAの住宅に入居していること
- 中古住宅取得から6ヶ月以内の入居を求める要件について
住宅ローンを借りて取得した中古住宅について、その取得の日から入居までに6ヵ月超の期間が経過していた場合でも、
次の要件を満たす場合には、当該住宅ローンに住宅ローン控除を適用できることとされました。
@ 取得後に増改築等を行った中古住宅への入居が、新型コロナウイルス感染症の影響によって遅れたこと
A @の増改築等の契約が、中古住宅取得の日から5ヵ月後まで又は特例法施行の日の2ヵ月後(令和2年6月30日)までに行われていること
B @の増改築等の終了後6ヵ月以内に、当該住宅に入居していること
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消費税の課税事業者選択届出書等の提出に係る特例
消費税の課税事業者を選択する(又はやめる)にあたっては、原則として、その課税期間の開始前に届出書を提出する必要がありますが、
新型コロナウイルス感染症の影響により、売上げが著しく減少した場合、課税期間開始後における消費税の課税選択に係る適用の変更を
可能とする特例が設けられました。
令和2年2月1日から令和3年1月31日までのの期間の内、一定期間(1ヶ月以上の任意の期間)の収入が、
著しく減少(前年同期比概ね50%以上)した場合で、かつ、当該課税期間の申告期限までに申請書を提出し、
税務署長の個別の承認を得た場合に課税選択の適用変更が認められます。
事業者の実情に応じた対応を可能とするため、課税事業者を選択した場合の2年間の継続適用要件等は適用されません。
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特別貸付けに係る消費貸借に関する契約書の印紙税の非課税
公的金融機関や民間金融機関等が、新型コロナウイルス感染症によりその経営に影響を受けた事業者
に対して行う特別な貸付けに係る契約書について、印紙税は非課税とされます。
既に契約を締結し印紙税を納付した者に対しては、遡及的に適用し、還付できます。
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