平成27年度税制に関する改正点 
 

M E N U

平成27年度税制改正法である「所得税法等の一部を改正する法律」が 3月31日に成立し、次の改正が行われました。

<法人税に関する改正点>
  • 法人税率の引下げ
  • 欠損金の繰越控除制度等の見直し
  • 受取配当等の益金不算入制度の見直し
  • 中小企業等の貸倒引当金の特例における簡便法の基準年度の見直し(法人税・所得税)
  • 試験研究を行った場合の税額控除制度の拡充(法人税・所得税)
  • 雇用者給与等支給額が増加した場合の税控除制度の見直し(法人税・所得税)
  • 地方拠点強化税制の創設(法人税・所得税)
  •   
    <法人地方税に関する改正点>
  • 法人事業税の外形標準課税の拡大等
  •   
    <所得税に関する改正点>
  • ジュニアNISAの創設
  • 既存NISAの拡充
  • 住宅ローン控除等の延長
  • 国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の創設
  • 財産債務明細書の見直し
  •   
    <個人住民税に関する改正点>
  • ふるさと納税の拡充
  •   
    <贈与税に関する改正点>
  • 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の延長・拡充
  • 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設
  • 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の延長等
  •   
    <消費税に関する改正点>
  • 消費税率引上げ時期の延期等
  • 外国人旅行者向け消費税免税制度の見直し
  • 国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税の見直し
  • 最終更新日:2015.7.23

    T O P 平成27年度税制改正点 平成26年度税制改正点

    法人税率の引下げ


    1. 普通法人等に対する法人税の税率が23.9%(現行25.5%)に引き下げられました。

      この改正は、平成27年4月1日以後に開始する事業年度に適用されます。

    2. 中小法人、公益法人等、協同組合等の法人税の軽減税率の特例(所得金額のうち年800万円以下の部分に対する 税率が19%のところ15%)について、適用期限が平成29年3月31日まで2年延長されました。


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    欠損金の繰越控除制度等の見直し


    欠損金の繰越控除制度について次の見直しが行われました。

    1. 中小法人等以外の法人の欠損金の繰越控除制度における控除限度額について、 平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する繰越控除をする事業年度については、控除前所得の金額 の65%相当額(改正前80%相当額)とされ、平成29年4月1日以後に開始する繰越控除をする事業年度に ついては、控除前所得の金額の50%相当額とされました。

    2. 欠損金の繰越控除制度における繰越期間が10年(現行9年)に延長されました。
      これに伴い、次の措置が講じられています。

      • 欠損金額が生じた事業年度に係る帳簿書類の保存要件について、保存期間が10年(現行9年)に延長

      • 法人税の欠損金額に係る更正の請求期間が10年(現行9年)に延長

      • 法人税の欠損金額に係る更正の期間制限が10年(現行9年)に延長

      この改正は、平成29年4月1日以後に開始する事業年度に適用されます。

    3. この改正に伴い、会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入制度について、 所要の整備が行われました。


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    受取配当等の益金不算入制度の見直し


    受取配当等の益金不算入制度について、次の見直しが行われました。

    1. 益金不算入の対象となる株式等の区分及び益金不算入割合の改正

      益金不算入の対象となる株式等の区分を、現行の3区分から4区分に変更し、益金不算入割合 及び負債利子控除の対象が見直されました。

      現   行
      区  分 株式等保有割合 不 算 入 割 合 負債利子控除
      完全子法人株式等 100% 100% なし
      関係法人株式等 25%以上 100% あり
      上記以外の株式等 25%未満 50% あり

      改 正 後
      区  分 株式等保有割合 不 算 入 割 合 負債利子控除
      完全子法人株式等 100% 100% なし
      関係法人株式等 3分の1超 100% あり
      その他の株式等 5%超3分の1以下 50% なし
      非支配目的株式等 5%以下 20%
      (保険会社は40%)
      なし

      「その他の株式等」及び「非支配目的株式等」については、負債利子がある 場合の控除計算(負債利子控除)の対象から除外されました。
      この改正に伴い、損害保険会社の受取配当等の益金不算入等の特例(特別利子に係る負債利子 控除の特例)が廃止されました。

      青色申告書を提出する保険会社が受ける非支配目的株式等に係る配当等の額については、 その40%相当額を益金不算入とする特例が創設されました。

      今回の見直しに伴い、関連法人株式等に係る負債利子控除額の計算の簡便法の基準年度が 平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度とされました。

    2. 証券投資信託に係る配当等の額の見直し

      証券投資信託に係る収益分配金ついては、信託財産の運用割合に応じて収益分配金の額に 一定の割合を乗じていましたが、公社債投資信託以外の証券投資信託の収益の分配の額については、 その全額を益金算入(現行:収益の分配の額の2分の1(4分の1)の金額の50%相当額を益金不算入) することとされました。

      ただし、特定株式投資信託の収益の分配の額については、その受益権を株式等と同様に扱い、 上記1の非支配目的株式等として、その収益の分配の額の20%相当額が益金不算入とされました。

    この改正は、平成27年4月1日以後に開始する事業年度に適用されます。


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    中小企業等の貸倒引当金の特例における簡便法の基準年度の見直し


    1. 中小企業等の貸倒引当金の特例について、実質的債権とみられない金額の計算について、 基準年度実績による簡便法を用いる場合の基準年度を平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に 開始した各事業度に見直しが行われました。 所得税についても同様です。

      この改正は、平成27年4月1日以後に開始する事業年度に適用されます。

    2. 公益法人等又は協同組合等の貸倒引当金の特例の適用期限が平成29年3月31日まで2年延長されました。


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    試験研究を行った場合の税額控除制度の拡充


    試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制)について、次の見直しが行われました。 所得税についても同様です。

    1. 控除税額の上限を当期の法人税額の30%(原則20%)に引き上げる措置が適用期限の到来により廃止され、 それに伴い、新たに以下の措置により、控除税額の上限の総枠が当期の法人税額の30%とされました。

    2. 特別試験研究に係る税額控除制度について、次の見直しが行われました。

      • 税額控除率(現行12%)が次のとおり引き上げられました。

        • 特別試験研究機関等又は大学等との共同研究及びこれらに対する委託研究・・30%

        • 上記以外のもの・・20%

      • 控除税額の上限が試験研究費の総額に係る税額控除制度及び中小企業技術基盤強化税制とは別枠で当期の 法人税額の5%とされました。

      • 特別試験研究費の範囲について、次の見直しが行われました。

        • 特別試験研究機関等のうち試験研究独立行政法人の範囲から国立研究開発法人以外の法人が除外されます。

        • 特定中小企業者に対する委託研究の対象となる委託先の範囲に公益法人等、地方公共団体の機関、 地方独立行政法人等が加えられました。

        • 特定中小企業者に対して支払う知的財産権の使用料が加えられました。

    3. 試験研究費の総額に係る税額控除制度及び中小企業技術基盤強化税制の控除税額の上限が当期の法人税額の 25%とされました。

      ※これらの制度の対象となる試験研究費の額には、特別試験研究費の額に係る税額控除制度の対象 とした特別試験研究費の額を含まないこととされました。

    4. 繰越税額控除限度超過額及び繰越中小企業者等税額控除限度超過額に係る税額控除制度が廃止されました。

    この改正は、平成27年4月1日以後に開始する事業年度に適用されます。


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    雇用者給与等支給額が増加した場合の税控除制度の見直し


    雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度(所得拡大促進税制)における雇用者給与等支給増加割合の要件について、 次の法人の区分ごとに次の見直しが行われました。所得税についても同様です。

    1. 中小企業者等又は中小連結親法人及びその連結子法人

      平成28年4月1日以後に開始する適用年度・・3%以上(現行:5%以上)

    2. 上記以外の法人(大法人)

      平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する適用年度・・4%以上(現行:5%以上)

    この改正は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度に適用されます。


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    地方拠点強化税制の創設


    地域再生法の改正により本社機能を東京圏から地方に移転したり、地方において拡充しようとする 法人が計画を作成し、地方公共団体がこれを認定する枠組みを前提として、次の措置が講じられました。 所得税についても同様です。

    1. 地方拠点建物等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度の創設

      青色申告書を提出する法人で地域再生法の改正法施行日から平成30年3月31日までに「地方活力向上 地域特定業務施設整備計画」について認定を受けたものが、 その計画に沿って、認定の日から2年以内に取得等をした建物等及び構築物で、一定の規模以上の ものについては、特別償却または税額控除ができることとされました。

      「計画」については、特定地域(東京23区)から支援対象区域(3大都市圏以外)への移転は「移転型」、 それ以外は「拡充型」と位置づけられ、前者は後者よりも支援内容が充実しています。

      • 移転型計画である場合

        特別償却25% または 税額控除7%
        (「計画」認定が29年4月1日以後は4%)

      • 拡充型計画である場合

        特別償却15% または 税額控除4%
        (「計画」認定が29年4月1日以後は2%)

        ※税額控除額の上限は当期の法人税額の20%

      • 上記の「一定の規模以上のもの」とは、一の建物及び附属設備並びに構築物の取得価額の合計が 2,000万円以上(中小企業者にあっては、1,000万円以上)のもの

    2. 雇用者の数が増加した場合の税額控除制度の拡充

      青色申告書を提出する法人で地域再生法の改正法施行日から平成30年3月31日までに「計画」の認定を受けた法人が、 雇用促進税制の一定の要件を満たす場合、認定以後3年間、雇用促進税制の特例を適用できる措置が講じられました。

      1. 拡充型計画又は移転型計画の認定を受けた法人に対する特例

        地方事業所基準雇用者数に50万円(基準雇用者割合10%以上の要件を満たさない場合は20万円)を乗じて 計算した金額を法人税額から控除することができることとされました。

        ※基準雇用者数とは、適用年度終了の日における雇用者の数からその適用年度開始の日の前日における雇用者 (その適用年度終了の日において高年齢雇用者に該当する者を除く)の数を減算した数

         基準雇用者割合とは、基準雇用者数の適用年度開始の日の前日における雇用者の数に対する割合

      2. 移転型計画の認定を受けた法人に対する特例

        地方事業所特別基準雇用者数に30万円を乗じて計算した金額を法人税額から控除することができることとされました。

        ※税額控除額の上限は、既存の雇用促進税制と地方拠点強化税制(投資減税)とを合わせて、 当期の法人税額の30%

      3. 雇用者の数が増加した場合の特別控除額の見直し

        上記1の特例の適用を受ける場合の法人税額の特別控除額については、40万円に基準雇用者数から 上記1の特例の適用に係る地方事業所税額控除限度額の計算の基礎となった地方事業所基準雇用者数を 控除した数を乗じて計算した金額とされました。

    3. 福島再開投資等準備金制度の創設

      福島復興再生特別措置法の改正を前提に、「避難解除区域等」への帰還を希望する事業者で、 事業再開に向けた計画を作成し、福島県知事の認定を受けたものについて、事業再開投資に 要する費用の支出に充てるための準備金制度が創設されます。所得税についても同様です。


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    法人事業税の外形標準課税の拡大等


    外形標準課税が拡大されるなど、法人事業税に関する見直しが行われました。

    1. 外形標準課税法人に係る法人事業税の税率の改正

      法人事業税の付加価値割と資本割の税率引上げ及び所得割の税率引下げが行われ、 平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度及び平成28年4月1日以後に 開始する事業年度から適用されます。

    2. 地方法人特別税の税率の改正

      資本金1億円超の普通法人の地方法人特別税の税率が引き下げられ、平成27年4月1日から 平成28年3月31日までの間に開始する事業年度及び平成28年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

    3. 資本割の課税標準の見直しおよび法人住民税均等割の税率区分の見直し

      現行の資本割の課税標準は「資本金等の額」が使用されていますが、 自己株式の取得等により、「資本金等の額」が「資本金と資本準備金の合計額」を下回る場合、当該額が 基準とされました。

      また、法人住民税均等割の現行の税率区分の基準である資本金等の額に無償増減資等の金額を加減算する措置を 講ずるとともに、その「資本金等の額」が「資本金と資本準備金の合計額」を下回る場合、当該額が 基準とされました。

    4. 付加価値割における所得拡大促進税制の導入

      平成27年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度に国内雇用者に対して給与等を支給 する法人で、次の要件を満たす場合は、所得拡大促進税制に係る措置として、その雇用者給与等支給増加 額を付加価値割の課税標準から控除できることとなりました。

      • 雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合

         平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度
          ・・3%以上

         平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度
          ・・4%以上

         平成29年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度
          ・・5%以上

      • 雇用者給与等支給額が前事業年度の雇用者給与等支給額以上

      • 平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を上回る

    5. 法人事業税の税率の改正に伴う負担変動の軽減措置

      平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間にに開始する事業年度に係る付加価値額が40億円未満の法人につい て、法人事業税額から一定額を控除する、外形標準課税の拡大に伴う負担変動に対する軽減措置が講じら れました。

      適用年度の課税標準に、前年度の税率と適用年度の税率をそれぞれ乗じ、適用年度の方が負担が重くなる場合

       適用年度の付加価値額が30億円以下の法人
        ・・その負担増加額の50%を控除

       適用年度の付加価値額が30億円超40億円未満である法人
        ・・控除率(50%)をなだらかに縮減

    6. 法人住民税及び法人事業税について、欠損金の繰越控除制度等に関する国税における諸制度の取扱いを踏まえ、 所要の措置が講じられました。

    この改正は、平成27年4月1日以後に開始する事業年度に適用されます。


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    ジュニアNISAの創設


    若年層への投資のすそ野の拡大等を図るため、「未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び 譲渡所得等の非課税措置」(ジュニアNISA)が創設されました。

    <概要>

    1. 非課税対象:0歳から19歳の居住者等が設けた未成年者口座内の少額上場株式等の配当、譲渡益

    2. 非課税投資額:毎年、@新規投資額及びA継続適用する上場株式等の時価の 合計額で80万円を上限(未使用枠は翌年以降繰越不可)

    3. 非課税投資総額:最大400万円(80万円 × 5年間)

    4. 口座開設期間:平成28年1月1日から平成35年12月31日までの8年間

    5. 保有期間:最長5年間、途中売却は自由(ただし、売却部分の枠は再利用不可)

    この改正は、平成28年1月1日から適用されます。


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    既存NISAの拡充


    平成26年1月より導入された「非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置」 (NISA)について、次の措置が取られます。

    1. NISAの年間投資上限額の引き上げ

      非課税口座に設けられる各年分の非課税管理勘定に受け入れることができる上場株式等の取得対価の額の 限度額を、120万円(現行:100万円)に引き上げられます。

      この改正は、平成28年分以後の非課税管理勘定について適用されます。

    2. NISA口座開設手続の簡素化

      マイナンバーを用いることによる口座開設手続の簡素化については、平成29年分ま では基準日の住所を証する住民票の写し等の提出により重複して非課税口座を開設 することを防止する実務が確立していることを踏まえ、平成30年分以後の非課税口座 の開設の際に実施できるよう、引き続き検討されます。

    3. NISA口座開設手続の迅速化

      非課税適用確認書の交付申請書の記載事項等の金融商品取引業者等の営業所の長から所轄税務署長への 提供方法について、光ディスク等を提出する方法を廃止し、電子情報処理組織(e-Tax)を使用する方法に 一本化されます。


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    住宅ローン控除等の延長


    平成29年末までの適用期限とされている住宅ローン控除等の措置について、消費税率10%への引上げ時期の 変更に伴い、その適用期限が平成31年6月末まで1年6ヶ月延長されます。

    個人住民税の住宅ローン控除の特例、被災者等に係る住宅ローン控除の特例についても、同様の措置が取られます。


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    国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の創設


    租税条約上、株式等を売却した者が居住している国に、そのキャピタルゲインに関する課税権があることを利用して、 巨額の含み益を有する株式等を保有したまま国外に転出し、キャピタルゲイン非課税国(例:シンガポール、香港)で 売却するといった課税逃れが可能となっています。

    このため、平成27年7月以後に国外に転出する一定の高額資産家を対象に、国外転出時に未実現のキャピタル ゲイン(含み益)に対して特例的に課税する制度(国外転出時課税)が創設されました。

    1. 対象者

      国外転出時において、次のいずれにも該当する居住者が、国外転出時課税の対象者となります。

      • 所有等している対象資産の価額の合計が1億円以上であること。

      • 原則として国外転出をする日前10年以内において国内に5年を超えて住所又は居所を有していること。

    2. 対象資産

      有価証券(株式、投資信託等)、匿名組合契約の出資の持分、未決済の信用取引・発行日取引・デリバティブ取引が 国外転出時課税の対象資産となります。

    3. 納税猶予制度

      国外転出時までに納税管理人の届出をした人は、確定申告期限までに確定申告書の提出をし、 納税猶予分の所得税及び利子税の額に相当する担保を提供することにより、当該所得税の額に ついて納税が国外転出から5年間猶予されます。また、長期海外滞在が必要な状況にある場合は、 納税猶予期間の延長の届出をすることで、更に5年間納税猶予期間を延長することができます。

    この特例は、平成27年7月1日以後に国外転出をする場合又は同日以後の贈与、相続若しくは遺贈について適用されます。


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    財産債務明細書の見直し


    所得金額が年間2,000万円を超える者は、その年12月31日現在の財産の種類や 数量、価額、債務の金額などの明細を記載した財産債務明細書を申告書と一緒に提出します。
    この財産債務明細書について次の見直しを行い、新たに「財産債務調書」として整備されます。

    1. 提出基準の見直し

      現行の提出基準である「その年分の所得金額が2,000万円超であること」に加え、「その年の12月31日において 有する財産の価額の合計額が3億円以上であること、または、同日において有する国外転出をする場合の譲渡 所得等の特例の対象資産の価額の合計額が1億円以上であること」が提出基準とされます。

    2. 記載事項の見直し

      現行の記載事項である「財産の種類、数量及び価額」のほか、財産の所在、有価証券の銘柄等、国外財産調書の 記載事項と同様の事項を記載します。

      ※財産の評価については、原則として「時価」としますが「見積価額」とすることもできます。 また、有価証券等については、取得価額の記載も必要となります。

    3. 過少申告加算税等の特例

      国外財産調書と同様、財産債務調書の提出の有無等により、所得税又は相続税に係る過少申告加算税等を加減算する 特例措置が取られます。

    この改正は、平成28年1月1日以後に提出すべき財産債務調書について適用されます。


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    ふるさと納税の拡充


    個人住民税における都道府県又は市区町村に対する寄附金に係る寄附金税額控除(ふるさと納税)について、 次の措置が取られました。

    1. 特例控除額の引上げ

      特例控除額の控除限度額を、個人住民税所得割額の20%(現行:10%)に引き上げられました。

      この改正は、平成28年度分以後の個人住民税について適用されます。

    2. 返礼品(特産品)送付について寄附金控除の趣旨を踏まえた対応の要請

      ふるさと納税について、その寄附金が経済的利益の無償の供与であること、 その寄附金に通常の寄附金控除に加えて特例控除が適用される制度であることを踏まえ、 豊かな地域社会の形成及び住民の福祉の増進に寄与するため、都道府県又は市区町村が ふるさと納税に係る周知、募集等の事務を適切に行うよう、都道府県及び市区町村に対して 要請することとされました。

    3. 申告手続の簡素化

      確定申告を必要とする現在の申告手続について、当分の間の措置として、次のとおり、確定申告不要な 給与所得者等が寄附を行う場合はワンストップで控除を受けられる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が 創設されました。

      • イ 確定申告を行わない給与所得者等は、寄附を行う際、個人住民税課税市区町村に対する寄附の 控除申請を寄附先の都道府県又は市区町村が寄附者に代わって行うことを要請できます。

      • ロ イの要請を受けた寄附先の都道府県又は市区町村は、控除に必要な事項を寄附者の個人住民税課税 市区町村に通知します。

      • ハ この特例が適用される場合は、現行制度における都道府県又は市区町村に対する寄附金に係る所得税 及び個人住民税の寄附金控除額の合計額の5分の2を道府県民税から、5分の3を市町村民税からそれぞれ控除します。

      • ニ 寄附者が確定申告を行った場合又は5団体を超える都道府県若しくは市区町村に対して寄附を行った場合は、 上記イ及びロにかかわらず、この特例は適用されません。

      この改正は、平成27年4月1日以後に行われる寄附について適用されます。


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    住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の延長・拡充


    直系尊属の資産を早期に移転することを通じて、足元の住宅市場の活性化、消費税率10%への引上げ前後における 需要の平準化等を図るため、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置について、適用期限(現行:平成26年12月31日) を平成31年6月30日まで延長した上で、非課税枠が最大3,000万円まで拡充されました。

     消費税率8%の適用を受けて住宅を取得した者と
     個人間売買により中古住宅を取得した者の非課税限度額

    契約年  良質な住宅用家屋 左記以外の住宅用家屋
    平成27年 1,500万円 1,000万円
    平成28年1月から
    平成29年9月
    1,200万円 700万円
    平成29年10月から
    平成30年9月
    1,000万円 500万円
    平成30年10月から
    平成31年6月
    800万円 300万円

     消費税率10%が適用される者の非課税限度額

    契約年  良質な住宅用家屋 左記以外の住宅用家屋
    平成28年10月から
    平成29年9月
    3,000万円 2,500万円
    平成29年10月から
    平成30年9月
    1,500万円 1,000万円
    平成30年10月から
    平成31年6月
    1,200万円 700万円

     (注)東日本大震災による被災者に適用される非課税限度額

    契約年  良質な住宅用家屋 左記以外の住宅用家屋
    平成28年10月から
    平成29年9月の契約
    かつ消費税率10%
    3,000万円 2,500万円
    その他の期間 1,500万円 1,000万円

  • 良質な住宅用家屋の範囲に、一次エネルギー消費量等級4以上に該当する住宅用家屋及び高齢者等配慮対策等級 3以上に該当する住宅用家屋が加えられます。

    ※良質な住宅用家屋・・省エネルギー性・耐震性・バリアフリー性の高い住宅のいずれかの性能を満たす住宅

  • 改正前は、贈与を受けた時期によって適用される非課税枠が決まっていましたが、改正後は、住宅用家屋の取得等に 係る契約の締結時期によって決まります。なお、平成27年1月以後に贈与を受けたものについては、平成26年以前に 契約を締結したものであっても、1,500万円が適用されます。

    この改正は、平成27年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得資金に係る贈与税について適用されます。


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    結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設


    受贈者(20歳以上50歳未満の子や孫)の結婚・子育て資金に充てるためにその直系尊属が金銭等を拠出し、 金融機関に信託等をした場合には、信託受益権の価額又は拠出された金銭等の額のうち 受贈者1人につき1,000万円(結婚に際して支出する費用については300万円が限度)までの金額に相当する部分の 価額については、平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間に拠出されるものに限り、 贈与税を非課税とする特例が創設されました。

    ※「結婚・子育て資金」とは、内閣総理大臣が定める次に掲げる費用に充てるための金銭をいいます。

    1. 結婚に際して支出する婚礼(結婚披露を含みます。)に要する費用、住居に要する費用及び引越に要する費用のうち 一定のもの

    2. 妊娠に要する費用、出産に要する費用、子の医療費及び子の保育料のうち一定のもの

    受贈者は、払い出した金銭を結婚・子育て資金の支払に充当したことを証する書類を金融機機関を経由し受贈者の納税地所轄務署長に 提出する必要があります。

    金融機関は、提出された書類により払い出された金銭が結婚・子育て資金の支払に充当されたことを確認し、 その確認した金額を記録するとともに、その書類及び記録を結婚・子育て資金を管理するための契約 の終了の日の翌年3月15日後6年を経過する日まで保存します。

    次に掲げる事由に該当した場合、結婚・子育て資金管理契約は終了します。

    1. 受贈者が50歳に達した場合

    2. 受贈者が死亡した場合

    3. 信託財産等の価額が零となった場合において終了の合意があったとき

    上記の1又は3に掲げる事由に該当したことにより結婚・子育て資金管理契約が終了した場合において非課税拠出額から 結婚・子育て資金支出額を控除した残額があるときは、これらの事由に該当した日にその残額の贈与があったものと して受贈者に贈与税が課税されます。

    上記2に掲げる事由に該当したことにより結婚・子育て資金管理契約が終了した場合には、非課税拠出額から結婚・ 子育て資金支出額を控除した残額については、贈与税が課されません。

    信託等があった日から結婚・子育て資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合には、その死亡の日に おける非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額については、受贈者が贈与者から相続又は遺贈により 取得したものとみなして、その贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算されます。この場合において、その残額 に対応する相続税額については相続税額の2割加算の対象とされません。なお、その残額は、結婚・子育て資金支出額 とみなされます。


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    教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の延長等


    直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の見直しを行った上、その適用期限 (現行:平成27年12月31日)が平成31年3月31日まで延長されます。

    1. 特例の対象となる教育資金の使途の範囲に、通学定期券代、留学渡航費等が加えられます。

    2. 金融機関への領収書等の提出について、領収書等に記載された支払金額が1万円以下で、かつ、その年中に おける合計支払金額が24万円に達するまでのものについては、その領収書等に代えて支払先、支払金額等の明細を 記載した書類を提出することができることとされます。

      2の改正は、平成28年1月1日以後に提出する書類について適用されます。

     


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    消費税率引上げ時期の変更等


    消費税率(国・地方)の10%への引上げ時期について、平成27年10月1日から、平成29年4月1日に変更されました。

    消費税率10%への引上げに係る適用税率の経過措置について、請負工事等に係る適用税率の経過措置の指定日を 平成27年4月1日から平成28年10月1日に変更されました。

    税制抜本改革法の附則第18条第3項(景気判断条項)が削除されました。


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    外国人旅行者向け消費税免税制度の見直し


    消費税免税店の拡大及び利便性向上を図る観点から、平成27年4月1日から、商店街やショッピングモール内 などにおける各店舗の免税手続を、「免税手続カウンター」でまとめて行うことができるようになりました。


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    国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税の見直し


    国内外の事業者間における競争条件の公平性を確保する観点から、平成27年10月1日以後に国境を 越えて行う電気通信役務の提供(電子書籍、音楽、広告の配信などの電子商取引)に係る消費税の内外判定基準が、 役務の提供に係る事務所等の所在地から、役務の提供を受ける者の住所地等に見直されました。

    これにより、外国法人等が国内向けに行う役務提供について従前は消費税が課税されなかったものが、 今後は課税されることになります。

    ※事業者向け取引に対するリバースチャージ方式の導入

  • 事業者向け電気通信役務の提供については、国内事業者は請求額のうち消費税を除いた金額を支払い、 消費税部分について当該国外事業者に代わり納付するリバースチャージ方式が導入されました。

  • 当該国内事業者の課税売上割合が95%以上の場合には、当分の間、電気通信役務の提供取引は無かったものと されます。つまり、リバースチャージ方式に係る消費税の納税義務が免除されるとともに、仕入税額控除の対象にも 含めないこととされます。

  • 消費者向け電気通信役務の提供に係る消費税については、国外事業者が登録国外事業者である場合のみ 仕入税額控除が可能となります。


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