減損の兆候
減損の兆候(資産又は資産グループに減損が生じている可能性を示す事象)がある場合、当該資産又は資産グループについて減損損失を認識するかどうかの判定を行う企業は、通常の企業活動において実務的に入手可能なタイミングにおいて利用可能な情報に基づき、減損の兆候がある資産又は資産グループを識別します。一 減損の兆候の例示
- 営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが、継続してマイナスとなっているか、又は、継続してマイナスとなる見込みである場合
- 「営業活動から生ずる損益」は、営業上の取引に関連して生ずる損益であり、これには当該資産又は資産グループの減価償却費や本社費等の間接的に生ずる費用を含む。
- 「継続してマイナス」とは、おおむね過去2期がマイナスであったことを指し、当期の見込みが明らかにプラスとなる場合は、該当しないと考えることが適当。
- 管理会計上「営業活動から生ずるキャッシュ・フロー」だけを用いている場合には、それが継続してマイナスとなっているか、又は、継続してマイナスとなる見込み。
- 事業の立上げ時など予め合理的な事業計画が策定されており、実際のマイナスの額が当該計画で予定されていたマイナスの額よりも著しく下方に乖離していないときには、減損の兆候には該当しない。
- 資産又は資産グループが使用されている範囲又は方法について、当該資産又は資産グループの回収可能価額を著しく低下させる変化が生じたか、又は.生ずる見込みである場合
- 資産又は資産グループが使用されている事業を廃止又は再編成すること。
- 当初の予定よりも著しく早期に資産又は資産グループを除却や売却などにより処分すること。
- 資産又は資産グループを当初の予定又は現在の用途と異なる用途に転用すること。
- 資産又は資産グループが遊休状態になり将来の用途が定まっていないこと。
- 資産又は資産グループの稼働率が著しく低下した状態が続いており、著しく低下した稼働率が回復する見込みがないこと。
- 資産又は資産グループに著しい陳腐化等の機能的減価が観察できること。
- 建設仮勘定に係る建設について,計画の中止又は大幅な延期が決定されたこと。
- 資産又は資産グループが使用されている事業に関連して、経営環境が著しく悪化、又は、悪化する見込みである場合
- 材料価格の高騰や製・商品店頭価格やサービス料金、賃料水準の大幅な下落、製・商品販売量の著しい減少などが続いているような市場環境の著しい悪化
- 技術革新による著しい陳腐化や特許期間の終了による重要な関連技術の拡散などの技術的環境の著しい悪化
- 重要な法律改正、規制緩和や規制強化、重大な法令違反の発生などの法律的環境の著しい悪化
- 資産又は資産グループの市場価格が著しく下落した場合
- 「市場価格が著しく下落」には、少なくとも市場価格が帳簿価額から50%程度以上下落した場合が該当
- 固定資産については、市場価格が観察可能な場合は多くないため、一定の評価額や適切に市場価格を反映していると考えられる指標が容易に入手できる場合には,これらを、減損の兆候を把握するための市場価格とみなす
- 資産グループについては、資産グループ全体の市場価格が把握できない場合でも、主要な資産の市場価格が著しく下落した場合も含まれる
二 共用資産の減損の兆候
- 以下のいずれかに該当する場合には、共用資産に減損の兆候があることとなり、共用資産を含む、より大きな単位で減損損失を認識するかどうかの判定を行います。
- 共用資産を含む、より大きな単位について、次の事象がある場合
- 営業活動から生ずる損益又ぱキャッシュ・フローが継続してマイナスの場合
- 使用範囲又は方法について回収可能価額を著しく低下させる変化がある場合
- 経営環境の著しい悪化の場合
- 市場価格の著しい下落の場合
- 共用資産そのものについて、次の事象がある場合
- 使用範囲又は方法について回収可能価額を著しく低下させる変化がある場合
- 経営環境の著しい悪化の場合
- 市場価格の著しい下落の場合
- 共用資産の帳簿価額を各資産又は資産グループに配分する方法を採用した場合には、共用資産に減損の兆候があるかどうかにかかわらず、その帳簿価額を各資産又は資産グループに配分して、当該配分された各資産又は資産グループに以下に示す事象のような減損の兆候の有無の検討が必要となります。
- 営業活動から生ずる損益又ぱキャッシュ・フローが継続してマイナスの場合
- 使用範囲又は方法について回収可能価額を著しく低下させる変化がある場合
- 経営環境の著しい悪化の場合
- 市場価格の著しい下落の場合
三 のれんの減損の兆候
- のれんには、営業権や借方の連結調整勘定が含まれます。
以下のいずれかに該当する場合には、のれんに減損の兆候があることとなり、のれんを含む、より大きな単位について、より大きな単位で減損損失を認識するかどうかの判定を行います。
- 営業活動から生ずる損益又ぱキャッシュ・フローが継続してマイナスの場合
- 使用範囲又は方法について回収可能価額を著しく低下させる変化がある場合
- 経営環境の著しい悪化の場合
- 市場価格の著しい下落の場合
- のれんの帳簿価額を各資産又は資産グループに配分する方法を採用した場合には、のれんに減損の兆候があるかどうかにかかわらず、その帳簿価額を各資産又は資産グループに配分して、当該配分された各資産又は資産グループに以下に示す事象のような減損の兆候の有無の検討が必要となります。
- 営業活動から生ずる損益又ぱキャッシュ・フローが継続してマイナスの場合
- 使用範囲又は方法について回収可能価額を著しく低下させる変化がある場合
- 経営環境の著しい悪化の場合
- 市場価格の著しい下落の場合
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