平成10年度法人税に関する改正点 |
平成10年4月1日から施行される改正法人税法は、法人税の税率が引き下げられるとともに、それに伴う大幅な課税ベースの見直しが行われます。
- 税率の引き下げ
- 各種引当金制度の改正
- 減価償却の改正
- 収益及び費用の改正
- その他の主な改正
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各事業年度の所得に対する法人税の税率が次のように引き下げられます。(適用時期)平成10年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
改 正 前 改 正 後 普通法人の税率 37.5% 34.5% 中小法人の軽減税率 28% 25% 公益法人等及び協同
組合等の軽減税率27% 25%
平成10年4月1日以後の解散又は合併による清算所得に対する法人税の税率が次のように引き下げられます。
改 正 前 改 正 後 普通法人の税率 33% 30.7% 協同組合等の税率 24.8% 23.1%
国税である法人税の税率が次のように引き下げられることに伴って、地方税である法人事業の税率も次のように引き下げられます。(適用時期)平成10年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
普通法人の標準税率
改 正 前 改 正 後 年350万円以下の所得 6% 年400万円以下の所得 5.6% 年350万円超年700万円
以下の所得9% 年400万円超年800万円
以下の所得8.4% 年700万円超の所得及び
清算所得12% 年800万円超の所得及び
清算所得11%
特別法人の標準税率
改 正 前 改 正 後 年350万円以下の所得 6% 年400万円以下の所得 5.6% 年350万円超の所得及び
清算所得8% 年400万円超の所得及び
清算所得7.5%
(適用時期)平成10年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
- 債権償却特別勘定が貸倒引当金制度に含められます。
債権償却特別勘定が貸倒引当金制度に含められ、繰入限度額の計算が期末貸金を個別に評価する債権(その一部につき貸倒が見込まれるものに限ります。)と一括して評価するその他の債権とに区分して計算する方式に改正されます。
- 法定繰入率が廃止されます。
一括して評価するその他の債権の繰入限度額の計算については法定繰入率による計算方法が廃止され、実績繰入率による計算方法のみとなります。
(経過措置)平成10年4月1日から平成15年3月31日までの間に開始する各事業年度については、実績繰入率と法定繰入率との選択が認められます。
(千分比)
卸・小売業 製 造 業 金融保険業 割賦小売業 そ の 他 改 正 前 10 8 3 13 6 平 成 10 年 度 8 6.5 2.5 10.5 5 平 成 11 年 度 6.5 5 2 8.5 4 平 成 12 年 度 5 4 1.5 6.5 3 平 成 13 年 度 3 2.5 1 4 2 平 成 14 年 度 1.5 1 0.5 2 1
- 中小企業の特例制度の対象法人
資本金1億円以下の中小企業の貸倒引当金の繰入限度額の計算については、実績繰入率と改正前の法定繰入率の選択適用が認められ、現行の中小企業の貸倒引当金の特例(法定繰入率の16%増)については適用期限が3年間延長されます。
(適用時期)平成10年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
- 賞与引当金制度が廃止されます。
(経過措置)平成10年4月1日から平成15年3月31日までの間に開始する各事業年度については、現行の繰入限度額に対して年度毎に6分の1ずつ減少する引当てが認められます。
一 定 割 合 平 成 10 年 度 6分の5 平 成 11 年 度 6分の4 平 成 12 年 度 6分の3 平 成 13 年 度 6分の2 平 成 14 年 度 6分の1
- 使用人の賞与は支払いをする日の属する事業年度の損金の額に算入されますが、事業年度末までに支給する賞与の額が受給者に通知され、その後1カ月以内に支払われるものであること等の要件を満たす場合には、期末にその額を未払費用として損金の額に算入することが認められます。
(適用時期)平成10年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
- 現行の退職給与引当金の累積限度額が期末要支給額の20%(改正前40%)に引き下げられます。
(経過措置)平成10年4月1日から平成15年3月31日までの間に開始する各事業年度については、累積限度額に乗ずる率が年度毎に斬減され最終的に20%に引き下げられます。
一 定 の 率 平 成 10 年 度 37% 平 成 11 年 度 33% 平 成 12 年 度 30% 平 成 13 年 度 27% 平 成 14 年 度 23%
(適用時期)平成10年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
- 製品保証引当金制度が廃止されます。
(経過措置)平成10年4月1日から平成15年3月31日までの間に開始する各事業年度については、現行の繰入限度額に対して年度毎に6分の1ずつ減少する引当てが認められます。
一 定 割 合 平 成 10 年 度 6分の5 平 成 11 年 度 6分の4 平 成 12 年 度 6分の3 平 成 13 年 度 6分の2 平 成 14 年 度 6分の1
(適用時期)平成10年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
- 特別修繕引当金は、繰入限度額が現行の4分の3に引き下げられ、特別修繕準備金に改められます。
- 平成10年4月1日以後に新たに取得する建物の償却方法は定額法とされます。
(適用時期)平成10年4月1日以後に新たに取得する建物について適用されます。
- 建物の耐用年数がおおむね10%から20%程度短縮され、最長のものでも50年が限度とされます。
(適用時期)平成10年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
取得時に損金処理できる小額減価償却資産の取得価額基準が20万円未満から10万円未満に引き下げられます。
ただし10万円以上20万円未満の資産については、通常の償却方法に代えて事業年度毎に一括して3年間で均等償却する方法も認められます。(適用時期)平成10年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
機械装置、器具備品、車両等に認められている初年度2分の1簡便償却制度が廃止されます。(適用時期)平成10年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
営業権の償却方法は任意償却から5年間均等償却に改められます。(適用時期)平成10年4月1日以後に取得する資産について適用されます。
(適用時期)平成10年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
- 長期請負工事については工事進行基準が強制適用されます。
平成10年4月1日以後に締結する請負契約からは、「工事期間が2年以上でかつ請負金額50億円以上の長期請負工事(製造を含みます)」については工事進行基準により各事業年度の収益の額及び費用の額を計算します。
(経過措置)平成10年4月1日から平成13年3月31日までの間に締結した契約については150億円以上、平成13年4月1日から平成16年3月31日までの間に締結した契約については100億円以上の工事に限って工事進行基準が強制適用されます。
- 割賦基準の方法が廃止されます。
割賦販売業者等に認められていた割賦基準による損益の計上が原則として廃止されて、金利相当部分を除き、商品の販売等を行った事業年度の益金の額に算入されます。
なお、賦払期間が2年以上であるなど一定の要件を満たす割賦販売については、延払基準の適用が認められます。(経過措置)平成10年4月1日から平成15年3月31日までの間に開始する各事業年度については、販売利益の一定割合の繰延べが認められます。
中小企業の交際費について、定額控除枠内の交際費の損金不算入割合が100分の20(改正前100分の10)に引き上げられます。(適用時期)平成10年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
使途秘匿金課税の支出がある場合の40%重課の特例が2年間延長され、平成12年3月31日までに終了する事業年度について適用されます。
不正の行為によって役員に対して支給する報酬の額については損金の額に算入されません。(適用時期)平成10年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
役員と特殊な関係のある使用人に対する給与等の額のうち過大な部分の金額については損金の額に算入されません。(適用時期)平成10年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
罰金等の損金不算入の対象に、外国又は外国の地方公共団体が課する罰金、科料に相当するものが加えられます。(適用時期)平成10年4月1日以後に課される罰金等について適用されます。
上場有価証券の評価方法について切り放し低価法が廃止されます。
改正以後の事業年度においては期首の帳簿価額をもって取得価額とされます。(適用時期)平成10年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
欠損金の繰戻しによる還付の不適用制度が2年間延長され、平成12年3月31日までに終了する事業年度については、欠損金の繰戻し還付は受けられません。
利子、配当等に係る所得税額が、その事業年度の法人税額から控除できなかった場合には、翌期以降4年間にわたり順次繰り越して控除されましたが、この制度が廃止され、今後は控除しきれなかった所得税額は、その事業年度で還付されます。(適用時期)平成10年4月1日以後に終了する事業年度について適用されます。
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