令和6年度税制に関する改正点 
 

M E N U

令和6年度税制改正に関する法律が令和6年3月28日に成立し、次の改正が行われました。

<法人税に関する改正点>
  • 賃上げ促進税制の強化
  • 交際費等の損金不算入制度の見直し及び延長
  • 中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入の特例の見直し及び延長
  • 戦略分野国内生産促進税制の創設
  • イノベーションボックス税制の創設
  • 中小企業事業再編投資損失準備金制度の拡充
  • 第三者保有の暗号資産の期末時価評価課税の見直し
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    <所得税に関する改正点>
  • 所得税・個人住民税の定額減税
  • 子育て世帯等に対する住宅ローン控除・住宅リフォーム税制の拡充
  • ストックオプション税制の利便性向上
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    <相続税・贈与税に関する改正点>
  • 住宅取得資金贈与非課税制度の延長
  • 法人版・個人版事業承継税制の特例承継計画の提出期限の延長
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    <法人事業税に関する改正点>
  • 法人事業税付加価値割の見直し
  • 外形標準課税の適用対象法人の見直し
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    最終更新日:2024.7.20

    T O P 令和6年度税制改正点 令和5年度税制改正点

    賃上げ促進税制の強化


    賃上げ促進税制について以下の見直しを行います。

    1. 大企業向けの措置

      従来の大企業向けの措置について、税額控除率の上乗せ措置(賃上げ4%以上に対して5%、 5%以上に対して10%、7%以上に対して15%、プラチナくるみんやプラチナえるぼしの認定を受けている場合に5%等) 等の見直しを行った上、その適用期限を3年延長します。

    2. 中堅企業向けの措置

      従来の大企業のうち従業員数が2,000人以下の法人について、3%以上の賃上げを行ったときは、 その10%の税額控除ができる中堅企業向けの措置を新たに創設します。
      この場合において、4%以上の賃上げを行ったときは15%、教育訓練費の増加割合が10%以上等であるときは5%、 プラチナくるみんやえるぼし(3段階目)以上の認定を受けているときは5%を税額控除率に加算します。

    3. 中小企業向けの措置

      中小企業向けの措置について、教育訓練費に係る税額控除率の上乗せ措置について、 教育訓練費の増加割合が5%以上等である場合に適用できることとし、 くるみんやえるぼし(2段階目)以上の認定を受けた場合に税額控除率に5%を加算する措置を加え、 5年間の繰越控除制度を設けた上、その適用期限を3年延長します。


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    交際費等の損金不算入制度の見直し及び延長


    交際費等の損金不算入制度について、損金不算入となる交際費等の範囲から除外される一定の飲食費に係る金額基準を1人当たり 5,000円以下から10,000円以下に引き上げることとした上、次の特例措置の適用期限を3年延長します。

    1. 交際費を年800万円まで全額損金算入できる中小企業の特例

    2. 接待飲食費の50%を損金算入できる特例


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    中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入の特例の見直し及び延長


    中小企業者等が30万円未満の少額の減価償却資産を取得した場合の取得価額の損金算入特例について、 その適用期限を令和8年3月31日まで2年延長します。

    ※個人事業者も同様です。


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    戦略分野国内生産促進税制の創設


    民間として事業採算性に乗りにくいものの、 国として特段に戦略的な長期投資が不可欠となるGX・DX・経済安全保障の戦略分野における国内投資を促進するため、 生産・販売量に応じて減税を行う新たな制度を創設します。

    産業競争力強化法の認定事業適応事業者が、産業競争力基盤強化商品生産用資産の取得等をしたときは、 その認定の日以後10年以内の日を含む各事業年度において、 その産業競争力基盤強化商品生産用資産により生産された産業競争力基盤強化商品のうち その事業年度の対象期間において販売されたものの数量等に応じた金額の税額控除ができることとします。

    ただし、以下1〜3の要件全てに該当する場合、当該年度について税額控除を適用しないこと とします(繰越控除除く)。

    1. 所得金額:対前年度比で増加

    2. 継続雇用者給与等支給総額:対前年度増加率1%未満

    3. 国内設備投資額:当期の減価償却費の4割以下


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    イノベーションボックス税制の創設


    研究開発拠点としての立地競争力強化のため、国内で自ら研究開発した知的財産権から生じる 一定の所得について、その事業年度において損金算入できる新たな制度を創設します。

    • 対象知的財産:特許権、AI関連のプログラムの著作権(令和6年4月1日以降に取得したもの)

    • 対象所得:譲渡所得、ライセンス所得(海外への譲渡に伴う譲渡所得及び関連者からの所得を除く)

    • 所得控除率:30%

    • 措置期間:7年間(令和7年4月1日施行)


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    中小企業事業再編投資損失準備金制度の拡充


    中小企業事業再編投資損失準備金制度(※)について、成長意欲のある中堅・中小企業が、複数回の M&Aを実施する場合には、積立率を現行の70%から、2回目には90%、3回目以降は100%に拡充し、 据置期間を現行の5年から10年に延長します。

    ※中小企業が、株式譲渡によるM&Aを行う場合に、株式等の取得価額の70%以下の金額を 中小企業事業再編投資損失準備金として積立てたときは、当該積立金額を損金算入できるという制度


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    第三者保有の暗号資産の期末時価評価課税の見直し


    法人が有する暗号資産のうち、活発な市場が存在するものについては、期末に時価評価することとされ、 評価損益は課税対象とされています。
    このうち、自己が発行した暗号資産で一定のものについては、期末時価評価課税の対象外とされていますが、 発行者以外の第三者が継続保有する暗号資産についても、一定の要件の下、期末時価評価課税を不要とします。


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    所得税・個人住民税の定額減税


    令和6年分の所得税・令和6年度分の個人住民税について、納税者及び配偶者を含めた 扶養親族1人(いずれも居住者)につき、所得税3万円・個人住民税1万円を控除します。
    ただし、合計所得金額1,805万円(給与収入2,000万円相当)超の高額所得者は対象外とします。

    所得税の減税について、以下のとおり実施します。

    1. 給与所得者に対する実施

      ・6月以降の源泉徴収税額から減税
      ・6月に減税しきれなかった場合には、翌月以降の税額から順次減税

    2. 公的年金受給者に対する実施

      ・年金機構等の公的年金(老齢年金)は、6月以降の源泉徴収税額から減税
      ・6月に減税しきれなかった場合には、翌々月以降の税額から順次減税

    3. 不動産所得・事業所得者等に対する実施

      ・予定納税対象者については、予定納税の機会に減税
      ・ それ以外の方は確定申告で減税

    ※所得税・個人住民税の定額減税の実施とあわせ、物価高に対応する観点から、 以下の各給付措置が、順次、実施されています。
    対象となる方には、お住まいの自治体(市区町村)から案内があります。

    1. 住民税非課税世帯・住民税均等割のみ課税される世帯の世帯主

      ・1世帯あたり世帯主に10万円を給付
      ・世帯に18歳以下の児童がいる場合は、1人あたり5万円を加算

    2. 減税前の税額が少なく、定額減税しきれないと見込まれる納税者等

      ・定額減税しきれないと見込まれるおおむねの額を給付


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    子育て世帯等に対する住宅ローン控除・住宅リフォーム税制の拡充


    1.子育て世帯等に対する住宅ローン控除の見直し

    住宅ローン控除について、令和6年限りの措置として、子育て世帯等(※)に対し、借入限度額を、 認定住宅は5,000万円、ZEH水準省エネ住宅は4,500万円、省エネ基準適合住宅は4,000万円 へと上乗せを行います。
    また、新築住宅の床面積要件について、合計所得金額1,000万円以下の者に限り40uに緩和します。

    ※子育て世帯等:18歳以下の扶養親族を有する者又は自身もしくは配偶者のいずれかが39歳以下の者。

    2.子育て世帯等に対する住宅リフォーム税制の見直し

    子育て世帯等が、所有する居住用の家屋について一定の子育て対応改修工事(※)をして、 令和6年4月1日から同年12月31日までの間に居住の用に供した場合、 その子育て対応改修工事に係る標準的な工事費用相当額(250万円を限度)の10%に相当する金額を その年分の所得税の額から控除できることとします。
    ただし、その年分の合計所得金額が2,000万円を超える場合は適用できません。

    ※「一定の子育て対応改修工事」とは、次の工事であって標準的な工事費用相当額 (補助金等の額を控除した後の金額)が50万円を超えること等一定の要件を満たすものをいいます。

    @住宅内における子どもの事故を防止するための工事
    A対面式キッチンへの交換工事、
    B開口部の防犯性を高める工事、
    C収納設備を増設する工事、
    D開口部・界壁・床の防音性を高める工事、
    E間取り変更工事(一定のものに限る。)


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    ストックオプション税制の利便性向上


    ストックオプション税制について、年間の権利行使価額の上限を、スタートアップが発行したものについて、 最大で現行の3倍となる年間3,600万円へ引上げます(※)。
    また、保管委託要件について、スタートアップ自身による管理の方法を新設します。

    ※@設立後5年未満の株式会社から付与されたものは2,400万円、A5年以上20年未満の株式会社のうち、 非上場であるもの又は上場後5年未満であるものから付与されたものは3,600万円

    この改正は、令和6年4月1日以後の所得税について適用されます。


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    住宅取得資金贈与非課税制度の延長


    直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度を、 令和8年12月31日まで3年延長します。


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    法人版・個人版事業承継税制の特例承継計画の提出期限の延長


    中小企業の円滑な世代交代を集中的に促進する観点から講じている法人版事業承継税制の特例措置について、 コロナの影響が長期化したことを踏まえ、特例承継計画の提出期限を令和8年3月末まで2年します。

    ※個人版事業承継税制における個人事業承継計画の提出期限についても令和8年3月末まで2年延長します。


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    法人事業税付加価値割の見直し


    法人事業税付加価値割における雇用者給与等支給額の対前年度増加額を付加価値額から控除する措置について、 法人税の賃上げ促進税制の見直しに合わせ、適用要件等の見直しを行った上、その適用期限を3年延長します。


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    外形標準課税の適用対象法人の見直し


    1.外形標準課税の対象法人について、現行基準を維持した上で、当分の間、前事業年度に外形標準課税の 対象であった法人であって、当該事業年度に資本金1億円以下で、資本金と資本剰余金の合計額が 10億円を超えるものは、外形標準課税の対象に追加されます。

    この改正は、令和7年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。

    2.資本金と資本剰余金の合計額が50億円を超える法人等の100%子法人等のうち、資本金が1億円以下で、 資本金と資本剰余金の合計額が2億円を超えるものは、外形標準課税の対象に追加されます。

    この改正は、令和8年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。


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