事業税の外形標準課税制度
 
平成15年度税制改正において、法人事業税に資本金1億円超の法人を対象として外形基準の割合を4分の1とする外形標準課税制度が創設され、平成16年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

現行の法人事業税は原則として「所得」を課税の基準としていますが、外形標準課税はこの所得に加えて法人の事業活動の規模に応じた基準により課税されます。 

M E N U

  • 対象となる法人
  • 税額の計算方法
  • 所得割の算定方法
  • 付加価値割の算定方法
  • 資本割の算定方法
  • 標準税率
  • 申告手続等
  • 最終更新日:2004.10.10

    T O P平成16年度税制改正点事業税の外形標準課税制度

    対象となる法人


    対象法人は、資本金額又は出資金額が1億円を超える法人です。(所得課税法人に限り、公益法人等、特別法人、人格のない社団等及び投資法人等を除きます。)
    平成16年4月1日以後に開始する事業年度から外形標準課税が適用されます。

    資本金が1億円を超えるかどうかの判定は、各事業年度終了の日(中間仮決算に基づく中間申告を行う場合には、その事業年度開始の日から6月の期間の末日、清算中の法人にあっては解散の日)の現況で判定します。

    電気供給業・ガス供給業・生命保険業・損害保険業の4業種については、現行において収入金額による外形標準課税が行なわれているため、付加価値及び資本等の金額に基づく外形標準課税の導入は将来の課題とされています。


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    税額の計算方法


    対象法人に対し、所得割、付加価値割及び資本割の合算額によって法人事業税が課されます。

     法人事業税額=所得割額+付加価値割額+資本割額


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    所得割の算定方法


    各事業年度の所得及び清算所得の算定方法は従来通りです。

     所得金額=益金の額−損金の額

    所得金額とは、原則として、各事業年度の法人税の課税標準となる所得金額又は連結所得にかかる個別所得金額の計算の例によって算定した金額で、欠損金額及び災害欠損金額の繰越控除額がある場合はこれを控除した後の金額となります。


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    付加価値割の算定方法


    各事業年度の付加価値額は、各事業年度の収益配分額(報酬給与額、純支払利子及び純支払賃借料の合計額)と各事業年度の単年度損益を合算により算定されます。

    付加価値額=収益配分額(報酬給与額+純支払利子+純支払賃借料)±単年度損益

    1. 報酬給与額

      役員又は使用人に対する報酬、給料、賃金、賞与、退職手当その他これらの性質を有する給与として支出する金額の合計額と役員又は使用人のために支出する確定給付年金規約に基づく掛け金等一定のものの合計額です。

      (1)収益配分額に占める報酬給与額の割合が高い法人の報酬給与額の計算

      報酬給与額が収益配分額の70%を超える法人は、付加価値額から雇用安定控除額を控除することができます。

       雇用安定控除額=報酬給与額−(収益配分額×70%)

      (2)労働者派遣契約がある場合の報酬給与額の計算

      「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」に規定する労働者派遣契約に基づく場合に適用となります。

      • 派遣労働者の派遣を受ける法人

        当該法人が役員・使用人の労働の対価として支払う給与等の額に、派遣契約料の75%相当額を加えた額が報酬給与額になります。

      • 派遣労働者の派遣を行う法人

        当該法人が役員・使用人の労働の対価として支払う給与等の額に、派遣労働者に支払う給与等の額の合計額から派遣契約料の75%相当額(ただし、派遣労働者に支払う給与等の合計額が上限)を控除した額を加えた額が報酬給与額になります。

    2. 純支払利子

      各事業年度において支払う負債の利子(経済的な性質が利子に準じるものを含む)の合計額(支払利子)から、各事業年度において支払を受ける利子の合計額(受取利子)を控除した額です。

       純支払利子=支払利子−受取利子
        ※純支払利子がゼロ又はマイナスの場合、ゼロとします。

    3. 純支払賃借料

      各事業年度において支払う土地又は家屋(これらと一体となって効用を果たす構築物及び附属設備を含む)の賃借料の合計額(支払賃借料)から、各事業年度において支払を受ける賃借権等の対価の合計額(受取賃借料)を控除した額です。

       純支払賃借料=支払賃借料−受取賃借料
        ※ 純支払賃借料がゼロ又はマイナスの場合、ゼロとします。

      (注)報酬給与額、純支払利子、純支払賃借料算定上の報酬・給与等、支払利子、受取利子、支払賃借料、受取賃借料は、法人税法の所得金額又は連結所得の計算上、損金又は益金に算入されるものに限られます。

    4. 単年度損益

      原則として、各事業年度の法人税の課税標準となる所得又は連結所得に係る個別所得金額の計算の例によって算定し、欠損金額及び災害欠損金額の繰越控除前の金額です。


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    資本割の算定方法


    資本等の金額は、各事業年度終了の日における資本金額と資本積立金額の合計額です。

    資本等の金額=資本金額又は出資金額+資本積立金額又は連結個別資本積立金額

    事業年度が1年に満たない場合は、資本等の金額に当該事業年度の月数を乗じて得た額を12で除して計算した金額が課税標準となります。(1月に満たない場合は1月とし、1月に満たない端数を生じた場合は切り捨てます。)

    資本等の金額が1,000億円を超える法人並びに持株会社に係る特例措置があります。

    1. 資本等の金額のうち、1,000億円を超える部分については段階的に圧縮します。1兆円を超える部分は課税標準に算入しません。

    2. 持株会社(発行済株式総数の50%超を保有する子会社の株式の価額が、総資産の額の50%を超える法人)については、資本等の金額から当該資本等の金額に総資産のうちに占める子会社株式の帳簿価格の割合を乗じて得た金額を控除します。


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    標準税率


    所得割に係る税率は、現行の4分の3に軽減されます。
    都道府県が標準税率を超えた税率で法人事業税を課する場合における制限税率は、標準税率の1.2倍となります。

    所 得 割 付加価値割 資本割
    標準税率 所得のうち年400万円以下の金額   3.8% 0.48% 0.2%
    所得のうち年400万円超800万円
    以下の金額
      5.5%
    所得のうち年800万円超の金額   7.2%

    ※3以上の都道府県に事務所・事業所を有する法人の所得割は、一律7.2%


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    申告手続等


    1. 確定申告

      当該事業年度分の付加価値割、資本割及び所得割の課税標準及び税額等必要事項を記載した確定申告書を当該事業年度終了の日から原則として2ヶ月以内に提出し税額を納付します。

    2. 予定・中間申告

      事業年度が6月を超える法人は中間申告納付の義務があります。
      当該事業年度開始の日から6月を経過した日までの期間を1事業年度とみなして算定した付加価値割、資本割、所得割の課税標準額及び税額等の必要事項を記載した中間申告書を当該事業年度開始の日から6月を経過した日から2ヶ月以内に提出し税額を納付します。

      ただし、平成16年4月1日以後に開始する最初の事業年度については、法人税の中間申告義務がない法人は、中間申告納付の義務はありません。法人税の中間申告義務がある法人は、予定申告または仮決算による中間申告のどちらかを行います。


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