マイナンバー制度の導入
平成28年から、社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)が導入されました。
平成28年以後の申告書には、申告者本人又は控除対象配偶者、扶養親族及び事業専従者などの
個人番号を記載する必要があります。
なお、申告者本人の申告書の控用に個人番号は記載しません。
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少額減価償却資産の損金算入の特例の延長
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(青色申告書を提出する中小企業者等が30万円
未満の少額減価償却資産を取得した場合、当期に取得等をした少額減価償却資産の取得価額の合計額300万円を
限度として、取得した事業年度又は年分に全額損金算入等(即時償却)を認める制度)の適用期限が2年延長
(平成30年3月31日までに取得する減価償却資産について適用)されました。
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建物附属設備及び構築物等の償却方法の見直し
平成28年4月1日以後に取得をする建物附属設備及び構築物の償却方法について、
定率法を廃止し、定額法を適用することになりました。
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給与所得控除の見直し
給与所得控除の上限について、次のとおり見直されました。
|
現 行 |
平成28年分 の所得税 |
平成29年分 以後の所得税 |
上限額が適用さ れる給与収入 |
1,500万円 |
1,200万円 |
1,000万円 |
給与所得控除の 上限額 |
245万円 |
230万円 |
220万円 |
この改正は、平成28年分以後の所得税について適用されます。
なお、個人住民税については、それぞれその翌年度から適用されます。
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金融所得課税の一体化
税負担に左右されずに金融商品を選択できるよう、金融所得課税の一体化を拡充し、公社債等
の利子及び譲渡損益並びに上場株式等に係る所得等の損益通算が可能になりました。
- 特定公社債の範囲の見直し
上場株式等に係る譲渡所得等の課税の特例の対象となる特定公社債である平成27年12月31日以前に発行された
公社債から、同族会社が発行した社債が除外されました。
これにより、同族会社が平成27年12月31日以前に発行した社債の利子で、その同族会社の株主等が平成28年1月1日
以後に支払を受けるものは、利子所得の20%源泉分離課税(所得税15%、住民税5%)の対象から除外され、
総合課税の対象となります。
- 株式等に係る譲渡所得等の分離課税
株式等に係る譲渡所得等の分離課税について、上場株式等に係る譲渡所得等と非上場株式等に
係る譲渡所得等を別々の分離課税制度とし、「特定公社債等及び上場株式等に係る
譲渡所得等の分離課税」と「一般公社債等及び非上場株式等に係る譲渡所得等の分離課税」に
区分されました。
この改正は、平成28年1月1日から適用されます。
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ジュニアNISAの創設
若年層への投資のすそ野の拡大等を図るため、「未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び
譲渡所得等の非課税措置」(ジュニアNISA)が創設されました。
<概要>
- 非課税対象:0歳から19歳の居住者等が設けた未成年者口座内の少額上場株式等の配当、譲渡益
- 非課税投資額:毎年、@新規投資額及びA継続適用する上場株式等の時価の
合計額で80万円を上限(未使用枠は翌年以降繰越不可)
- 非課税投資総額:最大400万円(80万円 × 5年間)
- 口座開設期間:平成28年1月1日から平成35年12月31日までの8年間
- 保有期間:最長5年間、途中売却は自由(ただし、売却部分の枠は再利用不可)
この改正は、平成28年1月1日から適用されます。
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既存NISAの拡充
平成26年1月より導入された「非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置」
(NISA)について、次の措置が取られます。
- NISAの年間投資上限額の引き上げ
非課税口座に設けられる各年分の非課税管理勘定に受け入れることができる上場株式等の取得対価の額の
限度額を、120万円(改正前:100万円)に引き上げられます。
この改正は、平成28年分以後の非課税管理勘定について適用されます。
- NISA口座開設手続の簡素化
マイナンバーを用いることによる口座開設手続の簡素化については、平成29年分ま
では基準日の住所を証する住民票の写し等の提出により重複して非課税口座を開設
することを防止する実務が確立していることを踏まえ、平成30年分以後の非課税口座
の開設の際に実施できるよう、引き続き検討されます。
- NISA口座開設手続の迅速化
非課税適用確認書の交付申請書の記載事項等の金融商品取引業者等の営業所の長から所轄税務署長への
提供方法について、光ディスク等を提出する方法を廃止し、電子情報処理組織(e-Tax)を使用する方法に
一本化されます。
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空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設
空き家の発生を抑制し、地域住民の生活環境への悪影響を未然に防ぐ観点から、被相続人の居住の用に
供していた家屋を相続した相続人が、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に、その家屋(その
敷地を含みます。また、その家屋に耐震性がない場合は耐震リフォームをしたものに限ります。)又は
除却後の土地の譲渡(相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡に限ります。)を
した場合には、その家屋又は除却後の土地の譲渡益から3,000万円を控除できるという制度が創設されました。
<主な適用要件>
- 相続した家屋は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有家屋を除きます。)であって
相続発生時に被相続人以外に居住者がいなかったこと。
- 譲渡をした家屋又は土地は、相続時から譲渡時点まで居住、貸付け、事業の用に供されていたことがないこと。
- 譲渡価額が1億円を超えないこと。
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三世帯同居に対応した住宅改修工事等に係る特例の創設
個人が、その者の所有する居住用家屋について一定の三世帯同居対応改修工事を行い、
平成28年4月1日から平成31年6月30日までの間に居住の用に供したときは、
次のいずれかの特例を適用することができるという制度が創設されました。
<対象工事>
1 キッチン 2 浴室 3 トイレ 4 玄関
<対象工事要件>
- 上記1から4までのいずれかを増設すること。
- 改修後、上記1から4までのうち、いずれか2つ以上が複数となること。
- 対象工事の費用が50万円超であること。
1 三世帯同居改修工事等に係る住宅ローン控除
その三世帯同居改修工事等に充てるために借り入れた次に掲げる住宅借入
金等(償還期間5年以上)の年末残高(1,000万円を限度)の区分に応じ、それぞれ次に定める割合
を乗じた金額に相当する金額の合計額を所得税の額から控除します。
この特例は、住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額
の特別控除との選択適用とし、控除期間は5年とします。
- 三世帯同居改修工事等に係る工事費用からその工事に係る補助金等を控
除した金額(250万円を限度)に相当する住宅借入金等の年末残高・・2%
- 上記以外の住宅借入金等の年末残高・・1%
2 三世帯同居改修工事等に係る所得税額の特別控除
その三世帯同居改修工事等に係る標準的な工事費用相当額(250万円を限
度)の10%に相当する金額をその年分の所得税の額から控除します。
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財産債務明細書の見直し
所得金額が年間2,000万円を超える者は、その年12月31日現在の財産の種類や
数量、価額、債務の金額などの明細を記載した財産債務明細書を申告書と一緒に提出します。
この財産債務明細書について次の見直しを行い、新たに「財産債務調書」として整備されます。
- 提出基準の見直し
現行の提出基準である「その年分の所得金額が2,000万円超であること」に加え、「その年の12月31日において
有する財産の価額の合計額が3億円以上であること、または、同日において有する国外転出をする場合の譲渡
所得等の特例の対象資産の価額の合計額が1億円以上であること」が提出基準とされます。
- 記載事項の見直し
現行の記載事項である「財産の種類、数量及び価額」のほか、財産の所在、有価証券の銘柄等、国外財産調書の
記載事項と同様の事項を記載します。
※財産の評価については、原則として「時価」としますが「見積価額」とすることもできます。
また、有価証券等については、取得価額の記載も必要となります。
- 過少申告加算税等の特例
国外財産調書と同様、財産債務調書の提出の有無等により、所得税又は相続税に係る過少申告加算税等を加減算する
特例措置が取られます。
この改正は、平成28年1月1日以後に提出すべき財産債務調書について適用されます。
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確定申告をしなければならない人
1年間に得た所得金額の合計額から所得控除額を差し引き、その金額をもとに計算した税額があるときは確定申告をしなければなりません。
給与所得者は毎月の給与や賞与から所得税が源泉徴収され、12月に年末調整で過不足額の精算が行われるため、次に該当しない限り確定申告の必要はありません。
- 給与収入が年間2,000万円を超える人
- 給与所得や退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人
- 給与を2か所以上からもらっていて、年末調整をされなかった給与の収入金額と給与所得や退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人
- 同族会社の役員やその親族などで、その会社から給与のほかに貸付金の利子や不動産の賃貸料などの支払いを受けている人
- 給与について災害減免法の適用を受けている人
- 家事使用人などで給与の支払いを受ける際に所得税を源泉徴収されていない人
公的年金等に係る雑所得を有する居住者で、その年中の公的年金等の
収入金額が400万円以下であり、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の
所得金額が20万円以下である場合には、その年分の所得税について確定申告書を
提出する必要はありません。
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確定申告をすれば税金が戻る人
確定申告をする必要がない人でも、次のような人は、確定申告をすれば源泉徴収や予定納税で納めすぎた税金が戻ってきます。
- 源泉徴収された配当や原稿料などの収入が少額で、その他の所得も少ない人
- 年末調整を受けた給与所得者で次に該当する人
- マイホームをローンで取得した人
- 多額の医療費がかかった人
- 年末調整のときに申告もれがあって控除を受けなかった人
- 災害や盗難にあって被害を受けた人
- 特定の寄付をした人
- 特定支出額が給与所得控除額を超える人
- サラリーマンで、年の中途に退職し年末調整を受けなかった人
- 予定納税をしたが確定申告の必要がなくなった人
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確定申告の申告期限
確定申告は、所得があった年の翌年2月16日から3月15日までの間に行います。確定申告をしなければ
ならない人が、申告期限内に確定申告書を所轄税務署に提出しなかったり確定した税金を納付しなかった
ときは、加算税や延滞税などが徴収されることになります。
ただし、還付を受けるための申告書は2月16日前でも提出できます。
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確定申告書の種類
確定申告書Aと確定申告書Bのいずれかを使用し、分離課税の所得がある場合や
損失が生じている場合には、確定申告書Bに併せて分離課税用又は損失申告用の
確定申告書を使用します。
- 確定申告書A(第一表、第ニ表)
次の要件のすべてに該当する人が使用します。
- 給与所得、雑所得、配当所得、一時所得以外に申告する所得がないこと
- 予定納税がないこと
- 変動所得・臨時所得の平均課税の適用を受けないこと
- 繰越損失額がないこと
- 確定申告書B(第一表、第ニ表)
確定申告書Aを使用する人以外の人が使用します。
- 確定申告書(分離課税用 第三表)
次の人が使用します。
- 土地建物等の譲渡所得がある人
- 申告分離課税の株式等の譲渡所得等がある人
- 上場株式等に係る配当所得について申告分離課税の適用を受けることを選択した人
- 申告分離課税の商品先物取引に係る雑所得等がある人
- 山林所得がある人
- 退職所得について申告する人
- 確定申告書(損失申告用 第四表(一)、第四表(ニ))
次の人が使用します。
- 平成28年分の所得金額が赤字の人(原則として青色申告者のみ)
- 雑損控除額を平成28年分の所得金額から控除すると赤字になる人
- 繰越損失額を平成28年分の所得金額から控除すると赤字になる人
- 居住用財産の買換え等の譲渡損失の繰越控除や特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除の適用を受ける人
- 上場株式等に係る譲渡損失の金額又は特定投資株式に係る譲渡損失の金額がある人
- 先物取引の差金等決済に係る損失の金額がある人
- 修正申告書(別表 第五表)
確定申告書を提出し、その申告期限後に納税額の過小、還付税額や損失の金額の過大が判明した場合などに使用します。
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所得税の計算順序
確定申告をする場合、税額は次の4段階で計算します。
- 各種所得の所得金額の計算
所得を10種類に分けて、各種所得の所得金額をそれぞれ計算します。
- 課税標準の計算
各種所得の所得金額を合計します。なお各種所得に赤字の所得があるときは、その赤字の所得は黒字の所得から差し引きます。また前年以前に発生した繰越損失があるときは、その繰越損失額もここで差し引きます。
- 課税所得金額の計算
課税標準から基礎控除などの15種類の所得控除額を差し引いて課税所得金額を計算します。
- 納付額または還付額の計算
課税所得金額に税率を掛けて税額を算出し、算出税額から税額控除額を差し引いて申告納税額を計算します。さらに既に納めている源泉徴収税額や予定納税額を差し引いて、確定申告で納付すべき税額または還付を受けるべき税額を計算します。
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所得の種類と計算方法
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所得控除の種類と控除額
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所得税の税額表
課税される所得金額 |
税 率 |
控 除 額 |
1,950,000円以下 |
|
5% |
0円 |
1,950,000円を超え |
3,300,000円以下 |
10% |
97,500円 |
3,300,000円を超え |
6,950,000円以下 |
20% |
427,500円 |
6,950,000円を超え |
9,000,000円以下 |
23% |
636,000円 |
9,000,000円を超え |
18,000,000円以下 |
33% |
1,536,000円 |
18,000,000円を超え |
40,000,000円以下 |
40% |
2,796,000円 |
40,000,000円超 |
|
45% |
4,796,000円 |
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復興特別所得税
平成25年1月から25年間に生ずる各年分の所得税については、
復興特別所得税を所得税と併せて申告・納付します。
復興特別所得税は、各年分の基準所得税額に2.1%の税率を
乗じて計算します。
また、各年分の所得については、源泉所得税の徴収の際に復興
特別所得税が併せて徴収されています。
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