平成17年分確定申告のあらまし 
 

 確定申告とは、納税者が1月1日から12月31日までの1年間に得た所得金額とその所得金額に対する税金を確定して、源泉徴収や予定納税で納めた税金と比べ、納めすぎているか納め足りないかを精算する手続きのことをいいます。
 この確定申告を行なうことによって、税金を納めすぎている人は還付金の払い戻しを受け、納め足りない人は差額の税金を納付することになります。

改正のポイント
  • 公的年金等控除及び老年者控除の見直し
  • 青色申告特別控除制度の見直し
  • 住宅ローン減税の適用対象要件の緩和
  • 寄付金控除の限度額の引上げ
  • 国民年金保険料の納付証明書の添付等の義務づけ
  • 特定口座内保管上場株式等の無価値化によるみなし譲渡損の特例等

  • 確定申告の概要
  • 確定申告をしなければならない人
  • 確定申告をすれば税金が戻る人
  • 確定申告の申告期限
  • 確定申告書の種類
  • 所得税の計算順序
  • 所得の種類と計算方法
  • 所得控除の種類と控除額
  • 所得税の税額表
  • 最終更新日:2006.2.1

    T O P平成17年度税制改正点平成15年度消費税改正点 平成17年分確定申告のあらまし

    公的年金等控除及び老年者控除の見直し


    公的年金等控除及び老年者控除について、次のように改正されました。

    1. 公的年金等控除のうち、年齢65歳以上の者に対して上乗せされている措置が廃止されました。

    2. 老年者控除が廃止されました。

    3. 老年者特別加算として年齢65才以上の者の公的年金等控除の最低保障額が50万円加算され、120万円とする特例措置が講じられました。

    これらの改正は、平成17年分以後の所得税及び平成18年度分以後の個人住民税について適用されます。


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    青色申告特別控除制度の見直し


    取引を正規の簿記の原則に従って記録している者については、青色申告特別控除額が65万円(改正前55万円)に引き上げられました。 なお、簡易な簿記の方法により記録している者に係る経過措置(青色申告特別控除額45万円)は、廃止されました。

    この改正は、平成17年分以後の所得税及び平成18年度分以後の個人住民税について適用されます。



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    住宅ローン減税の適用対象要件の緩和


    地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるものに適合する一定の既存住宅については、築後経過年数に関する要件(非耐火住宅:築20年以内、耐火住宅:築25年以内)に関わらず、住宅借入金等特別控除制度の適用対象となる既存住宅の範囲に加えられました。

    この改正は、平成17年4月1日以後に既存住宅の取得をし、自己の居住の用に供する場合について適用されます。


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    寄付金控除の限度額の引上げ


    寄付金控除の控除対象限度額が総所得金額等の100分の30相当額(改正前100分の25相当額)に引き上げられました。

    この改正は、平成17年分以後の所得税及び平成18年度分以後の個人住民税について適用されます。



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    国民年金保険料の納付証明書の添付等の義務づけ


    国民年金保険料等について社会保険料控除を受ける場合には、確定申告又は年末調整の際に、国民年金保険料等の支払をした旨を証明する書類の添付等が義務づけられました。

    この改正は、平成17年分以後の所得税及び平成18年度分以後の個人住民税について適用されます。


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    特定口座内保管上場株式等の無価値化によるみなし譲渡損の特例等


    1. 特定口座で管理されていた株式について、発行会社の清算結了等による無価値化損失が生じた場合には、一定の要件の下で、これを株式等の譲渡損失とみなす特例が創設されました。

      この改正は、平成17年4月1日以後に清算結了等の事実が発生する場合について適用されます。

    2. 自己が保管している上場株式等(いわゆるタンス株)について、平成17年4月以降も、実際の取得価額での特定口座への受入れが可能になりました。(みなし取得価額での受入れは平成16年末をもって終了しています。)


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    確定申告をしなければならない人


     1年間に得た所得金額の合計額から所得控除額を差し引き、その金額をもとに計算した税額があるときは確定申告をしなければなりません。

     ただし、サラリーマンは毎月の給与や賞与から所得税が源泉徴収され、12月に年末調整で過不足額の精算が行われるため、次に該当しない限り確定申告の必要はありません。

    1. 給与収入が年間2,000万円を超える人

    2. 給与所得や退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人

    3. 給与を2か所以上からもらっていて、年末調整をされなかった給与の収入金額と給与所得や退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人

    4. 同族会社の役員やその親族などで、その会社から給与のほかに貸付金の利子や不動産の賃貸料などの支払いを受けている人

    5. 給与について災害減免法の適用を受けている人

    6. 家事使用人などで給与の支払いを受ける際に所得税を源泉徴収されていない人

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    確定申告をすれば税金が戻る人


     確定申告をする必要がない人でも、次のような人は、確定申告をすれば源泉徴収や予定納税で納めすぎた税金が戻ってきます。
    1. 源泉徴収された配当や原稿料などの収入が少額で、その他の所得も少ない人

    2. 年末調整を受けたサラリーマンで次に該当する人
      • マイホームをローンで取得した人   
      • 多額の医療費がかかった人   
      • 年末調整のときに申告もれがあって控除を受けなかった人   
      • 災害や盗難にあって被害を受けた人   
      • 特定の寄付をした人   
      • 特定支出額が給与所得控除額を超える人

    3. サラリーマンで、年の中途に退職し年末調整を受けなかった人

    4. 予定納税をしたが確定申告の必要がなくなった人

    5. 退職所得者で、源泉徴収された所得税について定率減税の適用を受ける人

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    確定申告の申告期限


     確定申告は、所得があった年の翌年2月16日から3月15日までの間に行います。確定申告をしなければならない人が、申告期限内に確定申告書を所轄税務署に提出しなかったり確定した税金を納付しなかったときは、加算税や延滞税などが徴収されることになります。
     なお、還付を受けるための申告書は2月16日前でも提出できます。また申告期限後であっても5年間は提出できます。

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    確定申告書の種類


     確定申告書Aと確定申告書Bのいずれかを使用し、分離課税の所得がある場合や損失が生じている場合には、確定申告書Bに併せて分離課税用又は損失申告用の確定申告書を使用します。

    1. 確定申告書A(第一表、第ニ表)

       次の要件のすべてに該当する人が使用します。

      • 給与所得、雑所得、配当所得、一時所得以外に申告する所得がないこと
      • 予定納税がないこと
      • 変動所得・臨時所得の平均課税の適用を受けないこと
      • 繰越損失額がないこと

    2. 確定申告書B(第一表、第ニ表)

       確定申告書Aを使用する人以外の人が使用します。
       

    3. 確定申告書(分離課税用 第三表)

       次の人が使用します。

      • 土地建物等の譲渡所得がある人
      • 申告分離課税の株式等の譲渡所得等がある人
      • 申告分離課税の商品先物取引に係る雑所得等がある人
      • 山林所得がある人
      • 退職所得について申告する人

    4. 確定申告書(損失申告用 第四表(一)、第四表(ニ))

       次の人が使用します。

      • 平成17年分の所得金額が赤字の人(原則として青色申告者のみ)
      • 雑損控除額を平成17年分の所得金額から控除すると赤字になる人 
      • 繰越損失額を平成17年分の所得金額から控除すると赤字になる人 
      • 居住用財産の買換え等の譲渡損失の繰越控除や特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除の適用を受ける人

    5. 修正申告書(別表 第五表)

       確定申告書を提出し、その申告期限後に納税額の過小、還付税額や損失の金額の過大が判明した場合などに使用します。


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    所得税の計算順序


     確定申告をする場合、税額は次の4段階で計算します。

    1. 各種所得の所得金額の計算

       所得を10種類に分けて、各種所得の所得金額をそれぞれ計算します。

    2. 課税標準の計算

       各種所得の所得金額を合計します。なお各種所得に赤字の所得があるときは、その赤字の所得は黒字の所得から差し引きます。また前年以前に発生した繰越損失があるときは、その繰越損失額もここで差し引きます。

    3. 課税所得金額の計算

       課税標準から基礎控除などの15種類の所得控除額を差し引いて課税所得金額を計算します。

    4. 納付額または還付額の計算

       課税所得金額に税率を掛けて税額を算出し、算出税額から税額控除額や定率減税額を差し引いて申告納税額を計算します。さらに既に納めている源泉徴収税額や予定納税額を差し引いて、確定申告で納付すべき税額または還付を受けるべき税額を計算します。

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    所得の種類と計算方法

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    所得控除の種類と控除額

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    所得税の税額表


    課税される所得金額 税 率 控 除 額
    1,000円から 3,299,000円まで 10% 0円
    3,300,000円から 8,999,000円まで 20% 330,000円
    9,000,000円から 17,999,000円まで 30% 1,230,000円
    18,000,000円以上   37% 2,490,000円

    平成17年分の所得税について、所得税額の20%(上限25万円)が定率減税されます。

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