平成14年度税制に関する改正点 |
- 連結納税制度の創設(法人税)
- 退職給与引当金制度の廃止(法人税)
- 受取配当等の益金不算入制度の縮小(法人税)
- 同族会社の留保金課税の特例の軽減等(法人税)
- 交際費等の損金不算入制度の定額控除限度額の引き上げ(法人税)
- 中小企業投資促進税制の拡充(法人税)
- 中小企業技術基盤強化税制の延長(法人税)
- 障害者などに対する少額貯蓄非課税制度への改組(所得税)
- 経過措置による青色申告特別控除額の適用期限の延長(所得税)
- 特定口座にある上場株式等の譲渡に係る所得計算及び申告不要の特例(所得税)
- 新株予約権制度の施行に伴うストック・オプション税制の拡充(所得税)
- 取引相場のない株式等についての相続税の課税価格の減額措置(相続税)
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連結納税制度の創設(法人税)
企業グループ内の個々の法人の所得と欠損を通算して法人税を課税する連結納税制度が創設されました。
この連結納税制度は、平成14年4月1日以後に開始し、平成15年3月31日以後に終了する事業年度から適用されます。
- 適用法人・適用方法
(1) 適用法人は、内国法人である親会社とそのすべての100%子会社です。
(2) 親会社は普通法人と協同組合等に、その子会社は普通法人に限ります。
(3) 連結納税制度の適用は選択制とし、国税庁長官の承認を受けます。
また、一旦選択した場合には継続して適用します。(4) 親会社は連結所得に対する法人税の申告及び納付を行います。
(5) 各子会社は連帯納付責任を有し、連結所得の個別帰属額等を記載した書類を税務署に提出します。
(6) 適用法人の連結事業年度は、親会社の事業年度に合わせたみなし事業年度とします。
- 連結所得金額及び連結税額の計算
(1) 基本的な仕組み
(2) 連結グループ内の法人間の取引
- 連結所得金額及び連結税額は、連結グループ内の各法人の所得金額を基礎とし、所要の調整を加えたうえで、連結グループを一体として計算します。
- そのうえで、連結税額を連結グループ内の各法人の個別所得金額又は個別欠損金額を基礎として計算される金額を基にして連結グループ内の各法人に配分します。
(3) 利益・損失の二重課税の防止
- 連結グループ内の法人間の取引についても時価により行います。
- 連結グループ内の法人間で、資産(帳簿価額1,000万円未満のものを除きます。)の移転を行なったことにより生ずる譲渡損益は、その資産の連結グループ外への移転等の時に、その移転を行なった法人において計上します。
- 連結グループ内の法人間の寄附金はその全額が損金不算入になります。
(4) 連結欠損金額
- 子会社の株式を譲渡する場合、連結納税制度の適用を取り止める場合等には、その譲渡等の時において、その子会社の株式の帳簿価額の修正を行ないます。
(5) 税率
- 連結欠損金額は、5年間で繰越控除します。
- 連結納税制度の適用開始前に生じた欠損金額は、親会社の前5年以内に生じた欠損金額等一定のものに限り、連結納税制度の下で繰越控除します。
- 連結納税制度の適用を取り止める場合、子会社が連結グループから離脱する場合等には、連結欠損金額の個別帰属額を適用法人又は離脱する子会社に引き継ぎます。
連結所得金額に対する法人税率は次のとおりです。
連結納税制度の創設に伴う税収減に対応するための財源措置として、連結所得金額に対する法人税率に2年間の措置として、2%の連結付加税が上乗せされます。
- 親会社が普通法人である場合の税率・・・30%
- 親会社が中小法人である場合の軽減税率(年800万円以下の部分)・・・22%
- 親会社が協同組合等である場合の軽減税率・・・23%
- 親会社が特定の協同組合等である場合の特例税率・・・26%
- 親会社が特定の医療法人である場合の軽減税率・・・23%
- 租税回避行為の防止
多様な租税回避行為に適切に対応するため、包括的な租税回避行為防止規定が設けられます。
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退職給与引当金制度の廃止(法人税)
退職給与引当金の累積限度額は、平成10年度税制改正により期末退職給与の支給額の20%に引き下げられ、平成10年度から5年間で40%から20%まで断続的に引き下げる経過措置が取られていました。
本来、平成14年度は経過措置期間中で累積限度額は23%でしたが、連結納税制度の創設に伴う税収減に対応するための財源措置として、経過措置の終了を待たずに退職給与引当金制度が廃止されました。これに伴い、その廃止前の退職給与引当金の金額については次のように取り崩します。
この改正は、平成15年3月31日以後に終了する事業年度から適用されます。
- 大法人は4年間(平成14年度及び平成15年度についてはその金額の10分の3ずつ、平成16年度及び平成17年度についてはその金額の10分の2ずつ)で取り崩します。
- 中小法人及び協同組合等にあっては10年間(その金額の10分の1ずつ)で取り崩します。
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受取配当等の益金不算入制度の縮小(法人税)
受取配当等の益金不算入制度について、受取配当等の額の区分が変更され、益金不算入割合が引き下げられるとともに、特定利子に係る措置が廃止されました。
この改正は、平成15年3月31日以後に終了する事業年度から適用されます。
- 受取配当等の額の区分が次のとおりとされ、(3)に係る益金不算入割合が50%(改正前80%)とされました。
(1) 連結法人株式等につき受ける配当等の額
益金不算入額=全額
(注) 「連結法人株式等」とは、連結グループ内の他の法人の株式又は出資のうち一定の要件を満たすものをいいます。
(2) 関係法人株式等につき受ける配当等の額
益金不算入額=関係法人株式等につき受ける配当等の額−その事業年度において支払う負債の利子の額のうち関係法人株式等に係る部分の金額
(注) 「関係法人株式等」とは、内国法人の発行済株式の総数又は出資金額のうち法人の有する株式の数又は出資金額の割合が25%以上となるなど一定の要件を満たすものをいいます(連結法人株式等を除きます)。
(3) (1)及び(2)以外の株式等につき受ける配当等の額
益金不算入額=((1)及び(2)以外の株式等につき受ける配当等の額−その事業年度において支払う負債の利子の額のうち(1)及び(2)以外の株式等に係る部分の金額)×益金不算入割合(50%)
(注) 益金不算入割合(50%)は、資本の金額又は出資金額が1億円を超える普通法人又は相互会社等が配当等を受ける場合を除き、次の事業年度の区分に応じそれぞれ次の割合とする経過措置が講じられています。
(イ) 平成14年4月1日から平成15年3月31日までに開始し、かつ、平成15年3月31日以後に終了する事業年度・・70%
(ロ) 平成15年4月1日から平成16年3月31日までに開始する事業年度・・60%
- 受取配当等の益金不算入額の計算上、その事業年度において支払う負債の利子の額から特定利子を除く措置が、一定の利子に係るものを除き、廃止されました。
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同族会社の留保金課税の軽減等(法人税)
同族会社の留保金課税制度について次のように改正されました。
- 留保金課税の軽減
2年間(平成14年4月1日から平成16年3月31日までの間に開始する各事業年度に限ります。)の措置として、中小法人(資本金1億円以下の法人)に係る課税留保金額に対する税額が5%軽減されました。
- 留保金課税の停止措置の延長等
中小企業者等に対する同族会社の特別税率の不適用措置について、次の法人を対象に加えたうえ、その適用期限が2年間延長され平成16年3月31日までの開始事業年度とされました。
・中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法の中小企業者に該当する法人で前事業年度の損金の額に算入される試験研究費の額及び開発費の額の合計額の収入金額に対する割合が3%を超えるもの
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交際費等の損金不算入制度の定額控除限度額の引き上げ(法人税)
資本金1,000万円超5,000万円以下の法人に係る定額控除限度額が400万円(改正前300万円)に引き上げられました。
この改正は、平成14年4月1日以後の開始事業年度について適用されます。
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中小企業投資促進税制の拡充(法人税)
中小企業投資促進税制について、機械装置等の取得価額要件を160万円(改正前230万円)に、同リース費用総額要件を210万円(改正前300万円)に引き下げたうえ、その適用期限が2年間延長され、平成16年3月31日までの取得又は賃貸とされました。
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中小企業技術基盤強化税制の延長(法人税)
中小企業技術基盤強化税制について、特別税額控除割合10%(原則6%)の適用期限を1年間延長し、平成15年3月31日までの開始事業年度とされました。
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障害者などに対する少額貯蓄非課税制度への改組(所得税)
老人等の少額貯蓄非課税制度は、身体障害者手帳の交付を受けている者、遺族基礎年金受給者である被保険者の妻、寡婦年金受給者等(障害者等といいます。)に対する少額貯蓄非課税制度に改組されます。
改正後の規定は、平成18年1月1日から適用されます。なお、平成14年12月31日において65歳以上となる者は、同日に設定されている非課税枠の範囲内で、平成17年12月31日まで非課税制度が存続しますが、平成15年1月1日以降65歳以上となる者(障害者等を除く)については、非課税制度の対象となりません。
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経過措置による青色申告特別控除額の適用期限の延長(所得税)
簡易な簿記の方法に従って取引を記帳している場合の経過措置による青色申告特別控除額は、最高45万円とされていますが、この適用期限が3年延長され平成17年分までとされました。
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特定口座にある上場株式等の譲渡に係る所得計算及び申告不要の特例(所得税)
平成15年1月からの申告分離課税への一本化に当たり、一般の個人投資家の申告事務の負担の軽減に配慮する観点から次の特例が創設されました。この規定は、平成15年1月1日から適用されます。
- 特定口座(1証券会社1口座)内の上場株式等の譲渡による所得金額の計算については、その特定口座外の上場株式等とは区分して行います。
- 特定口座内の上場株式等の譲渡による所得については、選択により、源泉徴収の上、申告不要とすることができます。
平成16年度以後の個人住民税についても同様の措置が適用されます。
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新株予約権制度の施行に伴うストック・オプション税制の拡充(所得税)
商法の一部改正による新株予約権制度の施行に伴い、ストックオプション税制について次の改正が行われました。この改正は、平成14年4月1日以後の新株予約権について適用されます。
- 適用対象者に50%超保有の関連会社の取締役または使用人が追加されました。
- 新株予約権の行使に係る権利行使価額の年間限度額の1,200万円(改正前1000万円)への引上げが行われました。
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取引相場のない株式等についての相続税の課税価格の減額措置(相続税)
個人が相続等により取得した取引相場のない株式等のうち、発行済株式等の総数の3分の1以下に相当する部分について、次の要件を満たす場合に限り、相続税評価額3億円を限度として、相続税の課税価格を10%減額されます。
この規定は、平成14年1月1日以後に相続等により取得する財産について適用されます。
- 当該会社の発行済株式等の総額(相続税評価額ベース)が10億円未満であること。
- 被相続人等が当該会社の発行済株式等の総数の50%以上を所有しており、相続人が引き続き所有し、役員として会社を経営していたこと
なお、この特例を選択した場合には、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例等」の適用は停止されます。
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