連結キャッシュフロー計算書の作成方法は、親会社と子会社の個別キャッシュフロー計算書を合算して、連結会社相互間のキャッシュフローを相殺して作成する原則法と、連結貸借対照表と連結損益計算書をもとに個別キャッシュフローと同じ調整をして作成する簡便法の二通りあります。原則法は連結会社がそれぞれキャッシュフロー計算書を作成しなければならず、また連結相互間のキャッシュフローの相殺が煩雑になることから、実務的には簡便法を採用する企業が多くなると思われます。
原則法による連結キャッシュフローの作成手順
<直接法>
- 親会社及び連結子会社の個別キャッシュフロー計算書の単純合算
- 連結会社間の売上高と仕入高の消去
- 連結会社間の配当金受払の消去
- 連結会社間の債権債務の調整
<間接法>
- 親会社及び連結子会社の個別キャッシュフロー計算書の単純合算
- 連結調整勘定償却額の調整
- 連結会社間の取引によって生じた未実現利益の調整
- 連結会社間の配当金受払の消去
- 連結会社間の債権債務の調整
簡便法による連結キャッシュフローの作成手順
- 連結貸借対照表と連結損益計算書をもとに個別キャッシュフロー計算書の同様の手順で作成
- 連結項目の調整
<調整項目>
- 連結調整勘定償却額
- 持分法による損益
- 少数株主負担役員賞与支払額
- 新規連結子会社取得による支出
- 少数株主からの払込
- 少数株主への配当金支払等
注記事項
- 資金の範囲に含めた現金及び現金同等物の内容並びにその期末残高の連結貸借対照表科目別の内訳
- 資金の範囲を変更した場合には、その旨、その理由及び影響額
- (1) 株式の取得又は売却により新たに連結子会社となった会社の資産・負債又は連結子会社でなくなった会社の資産・負債に重要性がある場合には、当該資産・負債の主な内訳
(2)営業の譲受け又は譲渡により増減した資産・負債に重要性がある場合には当該資産・負債の主な内訳
- 重要な非資金取引
<例>
- 転換社債の転換
- ファイナンスリースによる資産の取得
- 株式の発行による資産の取得または合併
- 現物出資による株式の取得または資産の交換
- 各表示区分の記載内容を変更した場合には、その内容
連結特有の項目についての取扱い
- 在外子会社の資産及び負債の増減額の換算
在外子会社の円換算後の貸借対照表及び損益計算書を利用して当該在外子会社のキャッシュ・フローを求める場合には、為替相場の変動による円貨増減額の影響を調整しなければなりません。
なお、在外子会社の各表示区分ごとのキャッシュ・フローに重要性がない場合又は為替相場の変動による影響額が重要でないと認められる場合には、「現金及び現金同等物に係る換算差額」に含めて表示することができます。
- 連結会社相互間のキャッシュ・フロー
連結会社相互間のキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の作成に当たって相殺消去しなければなりません。
連結会社相互間において、現金及び現金同等物の未達取引がある場合、これを調整した上で連結会社相互間のキャッシュ・フローを相殺消去します。
- 連結会社振出しの受取手形の割引
商品及び役務の販売により取得した連結会社振出しの手形を他の連結会社が金融機関で割引いた場合、連結上は手形借入と同様の効果であるため、連結キャッシュ・フロー計算書では「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載します。
- 連結追加・連結除外とキャッシュ・フローの記載期間
新規の連結子会社については、連結の範囲に含めた時点以降のキャッシュ・フローを、また連結除外会社については、連結除外時点までのキャッシュ・フローを連結キャッシュ・フロー計算書に含めます。
- 少数株主との取引等
少数株主に対する配当金の支払額及び少数株主の増資引受による払込額は、「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分にそれぞれ独立掲記します。
- 持分法適用会社からの受取配当金
持分法適用会社からの配当金の受取額は、利息及び配当金に係るキャッシュ・フローの表示区分について選択した方法に従い、「営業活動によるキャッシュ・フロー」の区分又は「投資活動によるキャッシュ・フロー」の区分のいずれかに記載します。
なお、受取配当金を「営業活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載することとしている場合、間接法表示で「営業活動によるキャッシュ・フロー」の区分の持分法による投資(損)益に含めて表示することができます。